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化け物が俺に近づき目の鼻の先に赤い瞳を近づけてきた。
目を合わせて行けないと本能が言う。
逃げろ逃げろ、と。
(やばい!やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!)
この時は俺が『狩る側』かと思っていたがまさか『狩られる側』になるとは、思いってもいなかった。
隠してあるナイフは俺の反対側だ。
取りに行こうならこの化け物が絶対に殺すかも知れない。
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
何時間、何十分立ったのだろう。正確に言えばこの時はまだ五秒も立っていない。
この静寂を砕いのは、目の前にいた化け物だ。
『んー?ここは?君、◯◯◯◯◯?じゃないね、魂にこびり付いていないし』
(な、何を言ってんだ?てかシャベッタァァァアアアアアアアア!!!!)
『うぅぅん〜〜???僕に恐怖、じゃないね驚きを抱いてる?最近の人類って不思議だ』
女の声の様に聞こえ、中性的なハスキーボイスの様に聴こえ、機械が話している様に聞こえ、ワザと高い声を出す男の声に聞こえる。
突然として喋った為俺は、思わずツッコんでしまった。
「いやいやそれは可笑しいわ」
ツッコミを入れた瞬間、赤い瞳が俺を捉える。
『え?聞こえてた?』
「え?・・・・あ、声、出てた?」
『あ、うんてか何で疑問系に問いかけたのに疑問系に返すの?』
この時少し正論を言われ、少し、ほんの少しイラッと来た。
「仕方ないじゃんか子猫を拾ったら象に近い化け物が目の前にいるんだからさぁ、疑問系になっても仕方なくね?」
『いやいや多眼で重瞳の子猫を拾う馬鹿がいる?居ないよu』
「目の前にいますが、何かぁぁ??」
『うわっ、クソ苛つく言い方するね君人生一からやり直したら?』
「ああん??やるか?」
『へー?僕に口喧嘩を、するんだ?』
この後、この化け物との口論となった。きっかけは疑問系に疑問系に問いかけたからに始まったのだった。
口論が、数十分して。
「はぁ〜・・・・ここにおいたら?クイーン」
『むっ!そこにおいたらポーンに!』
「ちっ」
『今舌打ちしたね?!君酷くない?!』
いつの間にかチェスをしていた。何故こうなったかそれは何方もチェスのやり方しか知らないのだ。
ビショップをキングに入れる。これでチェックが決められると思ったが。
「ここで、むっ!」
『キッヒッヒッ!!チェックって言おうとしたね?残念!!こっちがチェックだ!!』
「だにぃぃぃ?!?!」
(逆にビショップを置くのを予想してそこにクイーンをか?!やりおる!!この化け物!!)
キングの駒を移動し化け物はビショップを前に移動するがナイトに取られてしまう。
「だがなぁ!こっちには控えているポーンとナイトがいるでなぁぁ!!」
『キッヒッヒッ!僕もまだまだ策はあるからねぇ!』
俺は笑い化け物も赤い目が笑う。
「『さぁ!楽しもうか!』」
一時間後。
「『なんでこうなった?』」
目の前のチェス盤には、キング黒と白に分かれていたしかも意図せず初期の配置になってしまっている。
チェスで、こうなるのは現実的にあり得ないのだが今現在、こうなっていたのを俺はこの時こう思った。
(化け物だからなんか?目の前の化け物が現在的にありえない事になるなら、こんなふうになるのか?)
『ねぇ』
「ん?なんだ?化け物?」
『化け物、やっぱりねぇ』
(?・・・・あっ!そうか!名前か!)
「忘れてたわ、自己紹介すんの!」
『察しが良くて助かるよ』
「うんじゃぁまず俺からな。
水産高校生、化学環境類型二年の祟蔵信役(たくら しんや)だ。
好きな食べ物は、干しイカだよろしくな」
『ほほう?そんなふうに自己紹介するのか、それなら僕にも出来るね』
目の前にいる化け物は身体を揺らす。
『僕の名は邪神、迷宮と魔女を司る邪神、アイホート・アビゲイル。
好きな食べ物は、人肉。
よろしくね、シンヤ?』
化け物、いや邪神様の衝撃的な出会いは子猫を拾いその正体が、邪神アイホート・アビゲイルだと知る。
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