#6 不埒な純愛

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 いつにも増して興奮状態の窪塚の様子に、身勝手な幻想を抱いてしまっている私は、充足感も相まって、窪塚との熱烈なキスにすっかりと酔いしれてしまっていた。  そんな私に茶々でも入れるみたいに、蕩けかけていた意識に、窪塚が未だ引き摺っているという幼馴染みの影がちらついてくる。  途端に、充足感で溢れていた胸がキューッと締め付けられ、痛くて痛くて、あたかも針でチクチクと刺されているような心地だ。  だからって、長い間無意識に募りに募っていたらしい窪塚への想いは、そう簡単には消えてなどくれない。  消えないどころか、今こうしてる間にもどんどん膨らんでしまっているのだからどうしようもない。  もう、このまま、窪塚にすべてを貪り尽くされてしまっても構わない。  そうしたら、たとえ窪塚に好きになってもらえなくても、窪塚の身体の一部として、ずっと離れずにいられるのにーー。  なんて、数時間前の私なら考えもしなかったようなことを結構真剣に思ってしまっているくらいだ。  けれど本音では、窪塚にとっては、長年想い続けている幼馴染みの身代わりでしかないのだとしても、それでも、今こうして身体を重ね合っているのは、幼馴染みじゃなくて、私だってことを忘れないでいて欲しいとも思う。  窪塚の熱烈なキスが深まっていくにつれ、その想いはいっそう強くなっていく。  それども、窪塚本人に伝えることもできないから、心は苦しくて苦しくて悲鳴を上げていて、どうすることもできずにいるのだけれど。  そのせいか、いつしか気づけば目尻に涙が滲んでいて、それらが雫となって頬を滑り落ちていく。  幸い今は情事の真っ最中だし、こういうときに性的な涙が出てしまうというのも、既に経験済みだったために、特に気にもとめてなどいなかった。  それなのに……。  どういうわけか、さっきまであんなに興奮しきりで我を忘れたように熱烈なキスに耽っていたはずの窪塚の動きが突如ピタリとやまってしまった。  ーー急に何事?
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