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私の言葉を耳にした刹那、窪塚はこれ以上は強く抱きしめようがないというほどに、強く強く私のことを胸に抱きよせてくれた。
目一杯抱きしめられているせいで、苦しくて苦しくてどうしようもない。
けれども、窪塚の身体がわなわなと小刻みに打ち震えいるのが身体に直に伝わってくる。
もしかしたら感極まって泣くのを必死に堪えているのかもしれない。
自分の言葉ながら、本当に可愛げがなかったけれど、どうやら私の伝えたかった想いは窪塚にちゃんと届いてくれたらしい。
そう思うと、嬉しくて嬉しくて、既にあたたかなもので満たされていたはずの胸が尚もあたたかなもので満たされていく。
もう収まりそうもなくて、今にも溢れて決壊してしまいそうだ。
そこへようやく落ち着きを取り戻せたらしい窪塚からの言葉が届いて、最高潮に達しかけていた私の心は冷や水を浴びせられることとなる。
「鈴に『いつか私のことお嫁にもらってくれないと許さないんだから』なんて言ってもらえる日がくるなんて、ホント夢みてぇ。今すぐ結婚して俺だけのものにしてぇけど。やっぱり親父さんに認めてもらってからがいいよなぁ。それまでは親父さんとの約束守らないとな」
「ーーへ!?」
この期に及んで、思いもよらない言葉を返されてしまった私は、拍子抜けを通り越して、唖然としてしまっている。
お陰で思わず零してしまった声は裏返っちゃったし。
一瞬、言われたことの意味が理解できなかったほどだった。
本当なら、互いの想いが通じ合ったままの勢いで、窪塚と一緒にめくるめく甘い夜を過ごす気でいたっていうのに、がっかりだ。
ーー否、勿論、窪塚の言葉が正しい正論だってことはよーくわかっている。
これまでだって、避妊のことにしたってそうだったし、窪塚はこういうことに関しては、徹底しているところがあるのは知っていた。
勿論、窪塚のそういうところも好きなところでもある。
窪塚の言ってることが正しいってことは、頭では理解できるのだけれど、なんだか私だけが盛り上がっちゃってるようで、面白くないのだ。
それに、そんなこと言ってるけど、窪塚だって、私と同じ気持ちだってことは、こんなにもくっついてるんだから、わかってるんだから。
とうとう黙っていられなくなってしまった私は、私のことを自分の胸から引き剥がしにかかろうとしている窪塚に向けて、渾身のお強請りを炸裂させたのだった。
「窪塚の言ってることはわかるんだけど、私の気持ちはどうなるのよ? ようやく窪塚と両想いになれたのに、想いを確かめることもできないなんて、そんなのヤダ。今夜はずっとずっと窪塚の傍にいたいの。帰りたくないの。ダメ?」
「ーーッ!?」
すると、まさかそんなことを言って私から迫るとは思ってもいなかっただろう窪塚が、驚愕の表情で目をひん剥いたまま凍り付いたように固まってしまっている。
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