#9、純愛ラプソディ

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 それなのに、どうして今まで気づけなかったんだろう。  こんなにも大事にしてくれていたのに。  ーーきっと初めてのあの夜も。  あの夜のアレコレを覚えてさえいたら。窪塚の気持ちにもっと早くに気づいていれば。  こんな風に遠回りすることもなかっただろうと思うのに。  ふと気づけば、今更ながらにどうにもならないことを後悔している自分がいる。  私は慌てて後ろ向きな思考を振り払った。  後悔なんてしているような、時間の無駄遣いなんてしている場合じゃない。  窪塚と一緒に歩んでいくこれからの未来へ目を向けなくちゃ駄目だ。  これからはもう二度と後悔なんかしないようにーーちゃんと恋人同士としてのスタートを切れるように。 「もう、何よ。さっきからヤバいヤバいって。私だってもう待てないって言ったでしょ。だからお願い、窪塚。もう一度私の初めてもらってよ?」  私の言葉に、窪塚の身体が驚いたように一瞬強張るような感覚がして、すぐに私との距離をとった窪塚が顔を覗き込んできた。  窪塚は虚を突かれたような顔で意味がわからないというように、僅かに首を傾げている。  窪塚の可愛らしい仕草にまたまた胸がキュンとときめいた。  窪塚のことがどうにも愛おしくて愛おしくて堪らなくなる。  いてもたってもいられなくなった私は、 「だって、窪塚だけ覚えてるなんてズルいでしょ? だから早く私に思い出させて。焦らしたりしたら許さないんだからッ! ほら、早くー!」 キョトンとしたままでいる窪塚の首に腕を絡めて抱きつき、そのままチュッとリップ音を立て窪塚の無防備な唇に口づけた。  そんな私の突飛な言動に驚愕の表情の窪塚が私の不意打ちのキスに応じてくれたときには、私の身体はぎゅぎゅうっと窪塚の逞しい腕の中に抱き込まれ。 「今から鈴は俺だけのものだ。一生、俺だけ見てろ。そしたら嫌ってほど思い出させてやる」  キスの合間に、熱烈に宣言されて、私がコクンと頷くと窪塚は満足そうに微笑んでくれた。  その後、私の背中に大きな手を添え支えつつ柔らかな唇の感触を味わうようにして、窪塚がねっとりとした舌でやわやわと横向きに唇の薄い皮膚をなぞってくる。  反射的に開いた唇の僅かな隙から挿し入れてきた窪塚の熱い舌によって私の舌は奪うように絡め取られ、余すことなく蹂躙されて、やがて思考は蕩け、全身からもくたりと力が抜けていく。 「……ンッ……ふぅ……んぁッ」  窪塚との甘やかでそれでいて情熱的な熱いキスに酔いしれているうち、骨抜きにされふにゃってしまった私は、いつしか生まれたままの一糸まとわぬ姿でベッドに縫い止めるようにして横たえられていた。  そこへ覆い被さるようにして身体を重ね合わせてきた窪塚の節くれだった手指と甘やかなキスの嵐が、首筋や鎖骨、胸の膨らみやらツンと熟れた尖りにというように、全身の至る所を啄みながら這わされ降り注がれて、夥しい無数の紅い華を散らしていく。 「……ぁ……はぁッ……ふぅ……ンンッ」  窪塚の手指と唇と舌とが、滑らかな柔肌を這うたび、紅い華が色鮮やかに刻まれていくたびに、甘やかな痺れが愉悦となって全身を駆け抜け戦慄させる。  互いの溢れくる唾液が奏でる水音の響きわたるなか、窪塚から絶え間なく与えられる優しくも甘やかな攻め立てに、私は瞳を潤ませキスの合間に喘ぎつつ身をよじり、窪塚の首に必死になって縋っていることしかできないでいる。  そうして気づけば、愛撫により完全にふにゃった私の両足は押し開かれ、暴かれた秘所には窪塚の顔が埋められているという、なんとも恥ずかしい格好にさせられていた。
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