#9、純愛ラプソディ

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 ただただ窪塚の逞しい腕の中で、必死になって背中にしがみついていることしかできない。  そんな私のことを激しく揺さぶるようにして、興奮状態の窪塚が突き上げてきて、次々に襲いくる凄まじい快感に身悶えつつ声の限りに喘がされている。 「あっ……はぁ、んぅッ……」  今にも狂ってしまいそうなほどに気持ちいい。  少しでも気を抜けば、綺麗サッパリ意識を手放してしまいそうだ。  そうこうしているうち、眼前にチカチカと閃光がチラつき始めた。  それに伴い、意識が薄ぼんやりと白んでいく。  そろそろ終わりが近づいているようだ。  もう、終わっちゃうんだ。嫌だな。  このままもっともっと窪塚のことを近くで感じていたいな。  もういっそ、このまま窪塚と一緒に溶け合ってひとつになれたらいいのに。  窪塚の逞しい腕の中で、言いようのない寂しさと名残惜しさを感じつつ、私は強烈な快感に翻弄されていた。  そしてふと気づくのだ。  もしかしたら、あの、『なんだ、思ってたより早かったね』発言は、こういう気持ちの表れだったんじゃないのかと。  自分では気づいていなかっただけで、ずっと窪塚のことを好きだった訳だし。  そういう心情から、無意識に放った言葉だったと考えた方がしっくりくる。  といっても、記憶が残っていないので、確証など持てはしないのだが。  それにしても、処女のクセに、そんなこと言ってたなんて、私ってば、もう、本当に呆れてしまう。  でも、どうせ恥ずかしい想いをするんだったら、あの夜のことだけは、ちゃんと覚えておきたかったな。  何かのきっかけで、思い出せればいいのに。  恐ろしくタフで絶倫な窪塚によって繰り出される強烈な快感のお陰で、夢うつつ状態の私は、いつしかそんなことを思っていた。  すると、私のことを欲望にまみれた獣と化してしまっている窪塚がぎゅうぎゅうに抱きしめてきて。 「……鈴のナカ、気持ちよすぎてヤバいッ」  やっぱり余裕なく、そんなことを言ってきて、窪塚は私のことをそのままベッドに押し倒し、覆い被さるようにしてのしかかってくる。  そうして、独り言ちるように呟きを落とした。 「これなら、まだ保ちそうだ」  余裕がないなら、私もソロソロ限界だし、無理せずそのまま終わってくれてもいいのに。  でもきっと、あの夜の私の発言が今も引っかかっているからなんだろうな。  窪塚の呟きを拾った私が、考えに耽っていた刹那。  窪塚が私の胸元に顔を埋めてきて、尚もぎゅぎゅっと抱きついてきた。  どうやらこのままなんとか達してしまわないように耐えしのごうという算段のようだ。  蕩けた頭でそんなことを思っていると、窪塚が胸の膨らみを両手で鷲掴んできて、熟れた尖りにむしゃぶりついてきた。  一瞬、意識が途絶えそうなほどの衝撃波と快感とに見舞われ、身体が大きく跳ね上がる。  けれど息をつく暇も与えないというように、腰を引いた窪塚が滾りに滾って、もはや剛直と化した昂ぶりでナカを抉るようにズブズブと激しく攻め立ててくる。 「ーーあっ、ヤッ。あああぁんッ!?」  一際大きな快感の波に一気に頂点まで押し上げられてしまった私は、今日一番の高い嬌声を放ってしまっていた。  自分の放った嬌声を意識の片隅で捉えつつ、私の身体を力強く抱き込んだ窪塚が胴震いしながら吐精する感覚に尚も感じ入る。  痙攣した身体がふわふわしていて、このままぷかぷかと浮遊して、今にも昇天してしまいそうだ。  そんななんとも幸せな心地のなか私は意識を手放してしまうのだった。  ハッキリと覚えてないが、数分ほど意識を手放してしまっていたらしい。
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