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誘われるまま踏み出した私の足に闇がいくつもの手のように絡みつく。執拗にその場に留めようとするそれを、私は懸命に振り払った。
今この光を逃したら、もう二度とここから出られないかも知れない。
振りほどいた闇の切れ間から見知った顔が映る。両親や兄弟達が何かを囲むようにしてくずおれていた。
なぜ、泣いているの?
雫が再び漆黒の中へと落ちる。
見れば私の胸には真っ赤な花が刺さっていた。
柔らかい光が全てを消す。
舞い降りた天使は微笑して私に手を差し伸べた。
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