真夜中

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 「嬉しい」 少し恥じらいのある彼の笑顔。 そのままに彼は、僕の顔に手をやる。  月明かりすら温く感じるほどの、夜の冷たさが人の形をして触れているような、 そんな白肌の艶めかしさが僕の皮を這って、親指は唇にたどり着く。 「じっとしててね」 ユキミくんの唇はねっとりと僕に重なって、 熱い舌先が感覚をずっと鋭いものに変えていく。 「ほら――舌出して」 僕たちの目は対になって離れない。 どこまでも黒い綺麗な彼の目が望むなら、 僕はどんな姿だって見せよう。 だから僕からは恥なんてものはとっくに消え失せて、 衝動に身を任せる。 「うっ……うぅん」 絡め合う舌に互いの唾液が混じり合って、 くちょくちょと甘い水音を立てて、口の中に響く。 五感全部が刺激されて、僕の脳みそは沸騰しそう。 僕は彼の体を抱いて、もっと体を引き寄せる。 心臓の鼓動が体に響く。 けど、流石に息が苦しくなってきて、僕たちは離れる。 「――意外と積極的だね君は」 口元を拭って、 「じゃあ続き、しよっか」 僕は無意識にうなずいていた。
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