真夜中

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 僕はそのまま彼に引かれるように覆いかぶさる。 「どうすればいいのか、キミは分かるの?」 耳元で囁く。 「わからない」 なんて(ウブ)なことを言ってみる。 でも実際、どうすればいいのかなんて僕には見当がつかない。 そうやってウジウジしていると、ユキミくんは僕のモノを掴んで、 「キミがやりたいようにすればいいんだよ」 と、撫で回す。 「じゃ、じゃあ、入れるよ」 「うん、いいよ」 「痛かったら言ってよ」 「大丈夫だから」  べっとりとお互いの唾液で濡れた彼の穴に、僕は自分のものを押し付ける。 抵抗する感覚と粘液の感触がせめぎ合って、ただ擦りつけているだけでも気持ちがいい。 「あっ、いい、から」 どこか緊張の糸がぷつりと切れたように、ふっと中に入っていく。 締まりつける肛門と、ねっとりとした柔らかい袋に包まれたような快感。 今までのどんな自慰(オナニー)も比べ物にならない。 「キミの、けっこう大きね」 「い、痛くないの?」 「優しいね、キミは」 大丈夫だよと、ユキミくんは僕を寄せて、そのままにキスをする。 「動いてみて。キミが気持ちいいように」 「やってみるよ」 とりあえず、僕は腰を動かす。なんだかとてもぎこちない動きだった。 彼の中はずっと奥まで入っていけるようにも思える。 抜き出そうとすれば粘膜がまとわりついて離さない。 その圧力が程よい刺激になってしまうから、僕はたまらずに小刻みに震えてしまう。 どんなことも始まりは格好がつかないのは承知しているけれど、 こればかりは自分が恥ずかしくて死んでしまいたいぐらいだった。 「ふふ……かわいいね、キミ」  それでも、何度か繰り返していくうちに要領を掴めたんだと思う。 刺激にも慣れて、僕はもっと大切なことに集中する。 「あっ、あっ、うぅん」 僕が一突きする度に、ユキミくんの声がどこか腹の奥から漏れ出てくるみたいだった。 赤くなった頬と、指を加えて声を殺すその姿が愛おしい。 気がつけば、ユキミくんからの挑発的な言葉は一切無くなっていた。
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