パジャマパーティー

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 歴史と古文が終わって放課後になった。私も葵も美術部だ。今は学校にある藤棚を描いている。私はジャージに着替えて画板を持った。葵と外に出る。お昼休みに揶揄ってきた男子が体育館に入って行った。私は石でも投げつけたい気分になった。  藤棚の脇にチェアを置いて描き始める。葵はもう描き終わりそうなのだが私はまだもう少しだ。コンクールに出すつもりなので失敗したくない。気が付くと五時になっていた。美術部は運動部より終わるのが早い。 「もうこんな時間か。葵はいいなー。上手いしもう終わりそうじゃない」 「花枝だって上手だよ。ねえ、あと一週間もあれば描き終わるでしょ。そしたらまたパジャマパーティーしようよ」 「えー、だってあの中に私が慎太くんを好きだって言っちゃった子がいるんだよ」  葵を抜けば疑わしいのは二人だが、どちらも気が利くいい子だ。いったい誰が教えたのだろう。 「暗闇にして慎太くんのこと言った子には手をあげて鈴を鳴らしてもらおう。そうすれば四人の中に犯人がいるかどうか分かるじゃない」  そうか。私は頷いた。
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