パジャマパーティー

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 雨が降り始めた。弱い雨だが自転車通学だと濡れる。レインコートは教室だ。部活をやめて美術室を出る。私の二年四組に行くと、パジャマパーティーをする女子の二人がいた。 「あ、花枝、どうしたの?」 「雨が降って来たからレインコートを取りに来たの。二人は部活はどうしたの?」  二人とも茶道部だ。たまに私も遊びに行って茶道のマナーを教わっている。 「折りたたみ傘があったかなと思って。今日は雨が降る予報じゃなかったでしょ」 「そうだね。野球部なんかは部活をもう終わりにするんじゃない?」  私はレインコートを持って帰ろうとした。そのとき、心愛(ここあ)ちゃんという女の子が呼び止めた。 「パジャマパーティーは土曜日でしょ。今度は怖い話をしようよ。花枝は怖い本が好きじゃない」  怖い話か。目的は慎太くんのこと言った子がいるか知りたいのだがそれもいいかもしれない。犯人を知ったって責めるわけにもいかないのだから。 「いいんじゃない。でも眠れなくならないでよ」  私は笑った。手を振って前の引き戸から出る。廊下に出ると窓の外を見た。体育館にサッカー部が入って行く。体育館はバスケ部とバレー部が使っているから端を使わせてもらうんだろう。  家に帰ると二階に行った。制服を脱いでスウェットに着替える。テーブルの上のチョコレート菓子を食べた。食べながら考える。誰が絵を盗んだのだろう。
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