WEST INDEX

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「ここは何処あ〜る」 「なんだか見覚えある気がするえ〜る」 みちるの両手に宿る「ある」と「える」が、揃って疑問の声を漏らす。 陸獣戦を目前に控え、どういう原理か「円卓の間」に強制的に移動させられた犬飼みちる。 調査班の面々も集められていたその場所に、『TEENAGE STRUGGLE』決勝後に会場を襲った片眼鏡の男達が姿を見せたかと思うと、今度はまた別の場所に飛ばされたのだった。 位置を確認する為、キョロキョロと辺りを見渡す。 どうやら高所らしいこの場所に、みちるは見覚えがあった。 「イチノクニ学院、だな」 みちるが飛ばされた場所。それは、イチノクニ学院の校舎の屋上であった。 イチノクニ学院には、校門から続く一本道を挟むように、平屋建ての校舎が左右に5つずつ並んでいる。 それぞれの校舎には両の手の指をイメージした名が付けられており、右端から「東の子」「東の薬」「東の中」「東の人」「東の親」、道を挟んで「西の親」・・・といった順に並んでいる。 みちる本人は知る由もないが、彼が飛ばされた校舎は、この内の「西の人」であった。 「こないだの子供なのなの」 「私たちの相手じゃないぴこぴこ」 と、戸惑うみちるの目前に、二人組の女の子が忽然と姿を見せた。 「お前たちは・・・」 みちるがポツリと呟く。 仲良く手を繋ぎ、みちるに試すような視線を寄越すのは、壱ノ国『信の王』を名乗るジュン=ジェミニであった。 みちるとジェミニは軽くであるが面識があった。 それは調査班が石版調査に赴いた時のこと。壱ノ国の教会を訪れた彼らのもとに、ジェミニはカプリコーンと共に姿を現したのだ。 そこでみちるはジェミニと手合わせをしたのだが、軽くあしらわれた経験があった。 未知の力によって近づくことすらままならず、触れることすらできなかった。故に、彼女の力量は未だ未知数である。 「闘え、と。そういうことあ〜るか」 「あの時と同じと思ったら、痛い目見るえ〜る」 みちるが戦闘対戦をとる。 「神ノ手足として、命に逆らうことはできないなのなの」 「ドゥオデキムの力を見せつけるぴこぴこ」 仲良く手を繋いだ状態で、ジェミニも構える。 『リ・エンジニアリング』第二の試練、『真』。 人類の存続をかけた闘いが、今始まる。
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