EAST MIDDLE

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アクエリアスが晒した弱点。それは「ユアマイン」であった。 スートは新たな『ルール』として、「聖杯」から液体が溢れると、その「聖杯」の持ち主が抱える弱点の位置が晒される、と提示した。 ここで重要なのは、弱点が具体的にナニを示すのかは明記されていないこと。 つまり、アクエリアスによって晒す弱点を操作することができたわけだ。 自分の命を司る「マイマイン」が弱点となることは間違いないが、相手に位置を悟られては不利になるという点で、「ユアマイン」もある意味で弱点だといる。強みと弱みは表裏一体という話だ。 脚部に「ユアマイン」があるというスートの予想は、見事的中していたことになる。 一方のスートは、蹴りを打ち込む動作の中で、に思い至っていた。 スートは、アクエリアスが弱点として「ユアマイン」を晒すことを、最初から予測していた。 そこまで計算した上での、「聖杯」のルール提案であったのだ。 それはあくまで可能性の一つであったが、今回の攻撃に対するアクエリアスの反応で、スートは確信を持った。 仮に弱点が「マイマイン」だった場合、それが晒された時点で、その一点に100パーセントの警戒を向ける筈だ。 にも関わらず、こうしてスートは比較的容易に弱点に辿り着いている。 相手が全くの素人なれば話は分かるが、アクエリアスは仮にもゲームの国の王を名乗る存在。スートの正確な牽制があったにせよ、「マイマイン」に到達することは本来不可能に近い筈。 となれば、導き出される答えは、アクエリアスが「ユアマイン」を弱点として晒している、という事実である。 「「・・」」 スートは弱点に当たる寸前で蹴りを止めると、赤く光るその箇所に一枚のカードを投げ、大きく身を引いた。 「一体なんの真似です」 そのカード。『月』の絵柄が描かれたカードに視線を落とし、アクエリアスが疑問の声を漏らす。 「存在の証明は、観測者が存在して初めてなされる。それがこの世界の『ルール』だ」 スートの言葉を合図に、「マメ吉さんEX」を隠すように存在していた「布」が消滅。 そこに「マメ吉さんEX」の姿はなく、代わりに在ったのは大量の「鳩」であった。 「なんです!?」 大量の「鳩」は一斉に飛び立ち、アクエリアスを襲った。 視界を覆うほどの大量の「鳩」に、アクエリアスがすっかり目を回していると、その内の一匹が肩にぶつかり、姿を変えた。 「これは・・」 ソレはまたしてもカードであった。 肩に張り付いたそのカードの絵柄は『太陽』。脚に張り付いたままの『月』のカードと何か関係があるのだろうか、とアクエリアスが思考を巡らせていると───。 「太陽に照らされて初めて、僕たちは月を認識できる」 スートが意味深な言葉を吐き、大量の「鳩」がアクエリアスの元を離れるように一斉に飛び立つ。 その歪な変化に、アクエリアスの背中に寒気が走ったかと思うと、次いで燃えるような熱さが襲った。 それは一瞬の衝撃。 アクエリアスの意識は、瞬間的に飛んだ。
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