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最初にここに案内されたときに言われた私の席だけが空いていたので、そこにゆっくりと近づく。
私の向かいにはカナンと佐伯親子がいて、斜め前には倉澤さんがいる。
それなのに、みんな私の顔をちらっと見るだけで何も言ってくれない。それどころか、普通に食事を続けている。
なにこれ、どういうこと。
「し、失礼します」
どうしようもなかった私だけど、黙って立ってても何も始まりそうもなかったから、空いていた椅子に座ることにした。
私の席にはお皿はあるけど箸がない。
飲み物は大家さんが持ってきてくれるって言ってたけど、少なくともこの状態では、歓迎されているとは到底思えなかった。
私が席についてもなお状況は変わらず、私は早くもここにいていいのか不安になってしまった。
頼みの大家さんも全然来てくれないし、本当にどうしよう。
まさかこんなことになるなんて思ってなかったから、リアクションもなにもない。
というか、また泣きそうだよ。
「……ぷっ」
「おい、カナン」
「いや、もう無理っ!」
カナンの声が聞こえたと思った次の瞬間、激しい爆発音とともに紙吹雪が私のもとに飛んできた。
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