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「また来るかな。」
「どうかな。」
やっちゃんと、おばちゃんが話している。泣いているけど笑っていて、寂しそうだけど悲しそうではなくて、なんだかもう、大丈夫、という気持ちになる。
みんなで空になったアイスのカップを並べる。
「これ、取っておこうよ。」
やっちゃんが言い、みんなが、そうだね、と頷く。
おばちゃんが、カップを流しにもっていって洗い始める。
「あっ!」
おばちゃんが声をあげ、クフフ、と笑う。
みんなで見に行くと、ペパーミントアイスが入っていたカップの底に、シールが貼ってある。やっちゃんのお父さんが、一人で変な顔をして写っていた。
「仲間に入りたかったんだね。」
おばちゃんが笑う。やっちゃんが、
「いいよ、入れてあげよう。」
と言って、映画館でみんなで撮ったシールを隣に貼る。
みんなでクスクス笑う。
「よかった、お父さん笑ってて。」
やっちゃんが言う。
「暗くて、寂しい場所で、一人で泣いてたらどうしようって思ってたんだ。」
お父さんが、やっちゃんの肩にポンと手を置いて引き寄せる。
「お父さんに、暗闇は似合わないよな。」
「うん。」
やっちゃんが笑い、お父さんが私を引き寄せ、お母さんとおばちゃんも引き寄せて、やっちゃんを中心にみんなでギュッと抱きしめ合う。
「これからも、時々、これやろう。」
やっちゃんが言うと、大人たちが笑う。
「やろう、やろう。」
お父さんとお母さんが言う。おばちゃんが泣きながら頷く。
やっちゃんのお父さんもこっそり加わっていて、笑ってる。
私はそう感じて、目を閉じる。
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