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私の家の玄関を開けると、おばちゃんが奥の部屋から走って出てきて、お父さんとお母さんもその後ろから、走って来る。
「大丈夫だった?」
おばちゃんが、心配そうな顔で私たちを交互に見ながら聞く。
「いなかった。」
やっちゃんが言うと、おばちゃんが泣きそうな顔になる。
やっちゃんをギュッと抱きしめて、
「そっか。」
と小さな声で言う。お母さんとお父さんが、涙ぐむ。
「お墓にはいないんだって。どこにいると思う?」
やっちゃんが言うと、おばちゃんがやっちゃんを離してジッと見つめる。
「お母さんがお父さんのこと一番よく知ってるでしょ?どこにいると思う?」
おばちゃんの目からポロポロと涙がこぼれる。やっちゃんが申し訳なさそうな顔をする。
「ごめんね。本当はお母さんにも会わせてあげたいけど、大人はダメなんだって。」
おばちゃんが、うんうん、と頷く。
「そばにいるのもダメなの?」
お父さんが聞くと、やっちゃんが首をひねる。
「厳密なことは分からない。」
おばちゃんが、泣きながらプッと笑う。
「厳密なこと、ね。」
大人3人がクスリと笑う。
「じゃあ、大丈夫ってことにして、みんなで探そうよ。おじさん、車出すから、思いつくところ全部行こう。」
やっちゃんが少し考えた後
「そうする。」
と言い、大人3人は顔を見合わせて頷く。
お父さんが車の鍵を取りに行き、お母さんがおばちゃんを連れてお勝手に行く。二人でガサゴソ、カチャカチャと音を立てていたと思ったら、大きな手提げバッグを持って玄関に戻ってくる。
「お菓子と、水筒と、果物と、おにぎり。」
お母さんが笑って、手提げバッグを持ち上げる。
私とやっちゃんは、わーい、と喜ぶ。
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