やっちゃんのお父さん

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山の公園につくと、やっちゃんが車から飛び出して走り出す。 おばちゃんが、待って、と言うけれど、お父さんが 「いいよ、いいよ、走れ!」 と言って、やっちゃんを追いかける。やっちゃんが走りながら振り向いて笑い 「うん!」 と言う。私はなんだか嬉しくなって、走って二人を追いかける。 ターザンロープの場所につくと、誰も遊んでいない遊具があるだけで、やっちゃんのお父さんはいなかった。 お父さんが、やっちゃんの肩にポンと手を置いて引き寄せる。 「次、行くか?」 「うーん、ちょっと遊んでく。」 やっちゃんは、ターザンロープのところに行って遊び始める。 「遊ぶのかよ。」 とお父さんが笑いながら、やっちゃんに近づく。私も仲間に入る。 あとからやってきたお母さんとおばちゃんが笑いだし 「遊んでるのー?」 と聞いてくる。 「うんッ!」 とやっちゃんが返事をして、にかっと笑う。 おばちゃんが、フニャッと笑い、 「お母さんも入れてー。」 と言って走ってくる。 「いいよー、遊ぼう。」 返事をするやっちゃんを見ながら、やっちゃんのお父さんみたい、と私は思う。
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