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脳裏に焼き付いたもの
私がバスルームから出ると、先にバスルームから出た隼人はソファーに座ってビールを飲んでいた。
「おいで」
自分の隣を手のひらでぽんぽんとしながら隣に座るように促す。
バスタオルを巻き、隼人の隣に座り、私もお酒を口にする。
「何時まで大丈夫なの?」
時刻は19時をまわっていた。
「あ、もうこんな時間...」
「帰る?」
「んー...」
「まだ大丈夫なの?」
大丈夫といえる時間ではない。
今帰っても家に着くのは20時過ぎ。
本当はもう帰らなきゃならない。
「もう少しなら...」
私の悪い癖。
帰らなきゃならない時間になっても、帰ると言えない。
帰りたくないから。
友達と会ったときは大体こうなる。
今のこの時間を終わらせたくない。そう思ってしまう。
「じゃぁ飲も」
まだ一緒にいられることが嬉しい。
この後会う予定の人はきっと隼人からの連絡を待ってる。
悪いとは思う。
でも、まだ隼人と一緒にいたい。
"次"がいつ来るか分からないから。
私には、今日が、この時間が、滅多にない時間だから。
なにも考えずに、友達と飲みに行くって言えればいいのに。
相手が女友達であっても、出掛けることを切り出すのが嫌だ。
後ろめたい。自分だけ楽しむみたいで。
そんな風に思う必要なんてないんだろうけど、思ってしまう。
一人暮らしだった頃の自分が羨ましくなる。
誰かになにか言われる事もなければ、気を使う必要もない。
自分がやりたいようにやれる。
出掛けたいときに、出掛けたい時間に出掛けられる。
帰りたいときに帰れる。
どれだけ遅くなっても気にしなくていいし、帰りたくなければ帰らない事だってできる。
自由だった。
タオル一枚巻いただけの私達。
これからどうするのかな?
ちょっと飲んで帰るのかな?
もうしないのかな?
隼人と繋がってたい。
私だけで頭をいっぱいにしてほしい。
そんなことを考えていると
「舐めて」
「え?」
突然過ぎてなんの事かわからなかった。
「舐めて」
隼人がタオルを取ってまた言った。
床に膝間付き、まだ元気のない隼人のそれを口に含んだ。
まだ終わりじゃない。
隼人にまた抱いてもらえる。
喜びと一緒に過去の嫌な思い出がよみがえる。
舐めるのは、あまり好きじゃない。
風俗嬢だった頃の自分を思い出すから。
風俗嬢はお客様の奴隷。
舐めるのは当たり前。
舐めてイかせるお店にいた事もある。
本当に辛かった。
だから舐めるのは好きじゃない。
奴隷になった気分。
大事に思われている気がしない。
皮肉にもテクニックは身に付いている。
あの頃は時間内にイかせなきゃならなかったから。
隼人のそれが次第に元気になっていくのを口のなかで感じる。
このままイくつもりなのか。
それは嫌だ。
風俗嬢と変わらない。
抱いてほしい。
そんなことを考えていると、隼人の指が私の蜜部に触れた。
「んっ...」
舐めながら反応する。
「すげぇ濡れてんじゃん」
まだ攻めてないのに。そんな言い方。
好きだから。
隼人が好きだから。
好きな人なら、舐めてるだけで濡れる。
好きな人なら。
「ベットいこ」
そう言われて舐めるのを止めると、
「うわぁっ」
軽々しく私をお姫様抱っこしてベットへ運んだ。
お姫様抱っこ。夢みたい。
好きな人にお姫様抱っこされてベットに運ばれるなんて。
そんな現実が私に起こるなんて。
喜びもつかの間、ベットに運ばれた私のタオルを剥ぎ取ると、無防備な蜜部を隼人の指が攻める。
「んっ...」
「もっと開いて」
そう言って隼人は私の脚を開かせる。
「あっ...いやっ」
機械音と共に私の蜜部に激しく振動するものが当てられる。
「なにかわかる?こんなことしたことねーんだろ」
あるよ。
ラブホには置いてあるよね。
マッサージではない使い方するやつ。
ドSなお客さんは使う。
お客さん相手だと、エッチな気分の時じゃなきゃ逆に萎えちゃってた。
隼人には何をされても感じちゃう。
好きだから。
「いれていい?」
もうゴムが無くても気にならない。
2回目だから。
「あっ... 」
私の中でどんどん大きくなるのを感じる。
私の頭の両脇に、隼人の腕。
ベットに両手をついて私を感じる隼人の首からぶら下がったシルバーネックレスが、私の目の前で揺れる。
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