俺とお嫁さま

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俺とお嫁さま

 俺たちは帰ってすぐにお互いのじいさんに連絡を入れた。  二人とも泣いて喜んでいた。  もしかしたらじいさんたちも本当は好きあっていた、なんて事もあったのかもしれない。じゃないといくら約束があって可愛い孫のお願いだとしても男同士で結婚させるとか言い出すはずがなかった。  じいさんたちの時代では難しかったかもしれない同性での結婚。  今もそれは難しいけれど、パートナーシップなんてものもある。  それでも充分とは言えないが、俺は朱音君と兄弟になる気も親子になる気もないのだから現時点ではこれが最善と言えた。  幸いな事に両家の親兄弟が味方だ。何があっても朱音君を守ってやれる。  俺たちは朱音君が高校を卒業すると同時に、役所でパートナーシップの手続きをした。  朱音君の左手の薬指には指輪が光っている。  そして俺の左手の薬指にも同じ物が。  朱音君はパートナーシップ証明書を抱きしめ幸せそうに微笑んだ。  あの時キミと別れてしまわなくて本当に良かった。背中を押してくれた真矢には感謝しかない。 「これ帰ったら額に入れて飾ろう? どこがいいかな? 寝室? それともリビングでみんなに見えるようにする?」 「ん。いっその事コピーして全部に飾るか?」 「それはダメ! 一枚しかないから意味があるの」  ギロリと睨むがちっとも怖くなんかない。  あんまり可愛いからおでこにちゅっと音を立ててキスをした。  朱音君は顔を真っ赤にさせておでこを片手で覆うと、へにゃっとだらしない顔になった。  あとで知った事なんだが朱音君は気を引き締めていないとすぐにへにゃへにゃな顔になってしまうそうだ。俺の事が好きすぎてそうなってしまうらしい。  だから俺が見ていない時は油断して恋する乙女のような顔をしていたのか。と真実を知ってしまえばあれほど心を痛めていたのに可愛いしかない。  今度は唇にキスをしようとして慌てて止められてしまった。  少し不満も残るがまぁ、流石に往来でこれ以上はまずいか。俺としてもこれ以上朱音君の可愛い顔を他人に見せたくはない。  納得してふっと笑うと、朱音君は色々な事を誤魔化すようにわざと明るく言った。 「あ! こういうのトイレとかがいいのかな? トイレに貼るってよく聞くよね!」 「それは暗記物の表とかだろう? お願いだからトイレだけはやめてくれ」  俺の真顔のツッコミに「冗談だよー」と言ってあははと楽しそうに笑った。 本当にうちのお嫁さまは可愛いったらありゃしない。 -終-
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