古いお屋敷の中で

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     全世界で、前例のない感染症が広がり、その影響で一緒に住んでいた彼氏の裕也は、毎日、在宅勤務をするようになった。  私は派遣社員という身であることもあいまって毎日出社していた。いくらでもかわりのいる事務の仕事だ。それでも、必死になってこれまで働いてきた。  それなのに、それなのに・・・・・・私は派遣の仕事をクビになった。感染症の影響で、業務が少なくなったというのが、その理由だった。  毎日一緒にいることでより絆を深められる人もいるのだろうが、私たちは違った。  狭いワンルームで、私たちは次第にギクシャクしだした。  それまで、あまりしなかったケンカもたくさんするようになった。  その結果、裕也は部屋を出ていった。  私も、すぐに小さなアパートに引っ越した。  私には今、愛もなければお金もない。  都会の中心で、一人だけが置き去りにされたかのような気分だった。  
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