最初の恋人 最後の恋人

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 挙式は滞りなく終わり、二人は晴れて夫婦になることが出来た。十字架を背にすると参列者からの拍手が俺達に降り注ぐ。  退場と共にゴスペルが歌い出し重い扉が音を立てて開いた。  さっきまでの大雨が嘘のように上がっていてた。  その扉からは強い日差しが差し込み、バージンロードの先にある未来へと導いてくれているようだった。そこを俺と友里はゆっくりと歩き始めた。  光の先に辿り着くと蒸し暑さの残る景色があった。  雨に打たれた緑は生き生きと空に葉を伸ばし背伸びをしているよう。  そして強い日差しを受けた水滴が、光を屈折させて有りと有らゆる方向から俺達に光のシャワーを浴びせてくる。  夏も終わりだなぁ。  夕立もこれで最後かもな。  ふと見上げると、雲と青空に重なるように大きな虹のアーチが俺達を出迎えてくれた。 「最高!」  友里はそう言うと組んでいた腕を離し手を握ってきた。 「最高の贈り物だな」  俺はその繋いだ手にキスをした。
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