私と父の平日の朝

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私と父の平日の朝

 私と父は朝食を食べない  私は昔は食べていたが 父と暮らすようになってからは食べなくなった  「朝ご飯はー?」  父と暮らし始めた頃私は父に聞いた  「朝ご飯はないよ」  「えーなんで?不健康だよ」  「青葉ぁ聞いて」  父は私を諭す時必ず私の前にくる そして私を真っ直ぐに見つめて 私の手か太ももに手を置いて話し始める  「人間の歴史はね 飢餓との戦いなの だから人間の身体は食べない事への免疫は強いんだよ 対して食べ過ぎには非常に弱いのだ」  「えーでも1日3食って言うじゃん」  「あれは嘘だよ エジソンが流行らせた嘘」  父は物知りだ 私がいくら御託を並べても 私が勝ったことはない  私は父の話はほとんど聞いていないが 一生懸命に私に話す父の瞳をずっと見つめている きらきらしていて可愛いのだ  ただ私を見つめる父の視線はいつも低い  私が椅子に座って 父が立っていても それでも低い  ソファーでやっと対等だ  私より6歳も若い父はまだ125cmしかない 最近調べたが今の日本の11歳の男の子の平均身長は139cmらしく父はかなり低い方だ  この前父に聞いてみた  「父さんてさ 全校集会とか何番目に並んでるの?」  「え?さ、ささん番目だよ」  父は嘘をつく時いつも少し動揺する  「ふーん 3番目なんだね」  「ももうすぐ 4番目になれるかな」  父は見栄を張る かわいい    どうしても父が何番目に並んでいるかを見たくて 父に内緒で父の小学校に侵入した事がある  すると父は堂々と1番前に並んでいた  私はそれをどうしても写真に撮りたかったが 教師に見つかってしまい 逃げたため 写真を撮れなかった  父が1番前に並んでいるうちに父の写真を撮る   それが私の秘かな夢だ  「青葉ぁ 準備できた?」  「うん 出来たよ」  「じゃあ 行こうか」  「うん 行こう」  家を出る時 私たちにいってらっしゃい いってきますはない  いつも一緒に出発するから  私はそれが永遠に続いてほしい
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