きっかけは…

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きっかけは…

「またミスったのかよ、ほっんとお前はクズだな。」 奴が耳元で囁く。 「お願いだからもうこの会社辞めてくれよ」 この陰湿なバーコードはげの上司は更に被せてきた。 「すいませんでした」 俺が腰を折らず、頭を下げずに丁重とは程遠い態度で謝ると、辻雄一郎は薄っすらこちらを睨んで立ち去って行った。  俺はクソ上司の辻が苦手、いや嫌いだ。あわよくば死んでくれと思っている。 確かに今まで同業種で働いたこともないこの会社に知り合いのコネで途中入社してからの半年間で自分が客側だったらブチ切れるかも知れないミスは今回で3度起こしているが、どこが要所でソレをどう押さえてこなすべきかを教えてくれないあんたの"仕事は見て覚えろ"的な教育方針は間違っているんじゃないんですかねぇ。 声を荒げる訳でもなく怨みタップリに囁いた言葉が口を付いて出たのは、既に何度もあんたにお供して行って経験もした上でミスる俺の物覚えの悪さが起因しているのだろうけれども、今回起きた失態の原因はあんたの教育不足なのか、私の脳ミソの問題なのか、どっちなんでしょうかねぇ。 ま、いいや。家に帰ったら唯一の楽しみTwitterでまた憂さ晴らしすっから。
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