いろどり

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2学期も半ばにさしかかった11月のはじめ。 「辞めます」 絵里先生は放課後の校長室に乗り込んでいっては、泣きながらクラス名簿を机へと叩きつけた。 あ然とする周囲。 その後、彼女はカバンだけを掴んでは、何も言わず学校を飛び出した。 私は急いで後を追う。 私は彼女の先輩である以前に、まず一個人として味方でありたかった。 「もしかして保育園のこと?」 「……」 「落ち付いて、一度戻ろうよ。私が校長に話すよ…」 しかし彼女は足を止めない。 駅へ向かう坂道は、なだらかな一本道で。 “あ…” ふと坂の反対側から、背広を脇に抱えたワイシャツ姿の元が来たが、私はその不思議そうな丸い瞳を一瞬見るだけで、後はずっと絵里先生に付いて行った。 「貴方が辞めたら、クラスの子ども達悲しむよ!」 「わかります。わかりますけど、もう我慢の限界なんですっ!!」 「絵里…」 「すいません…」
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