2人が本棚に入れています
本棚に追加
2学期も半ばにさしかかった11月のはじめ。
「辞めます」
絵里先生は放課後の校長室に乗り込んでいっては、泣きながらクラス名簿を机へと叩きつけた。
あ然とする周囲。
その後、彼女はカバンだけを掴んでは、何も言わず学校を飛び出した。
私は急いで後を追う。
私は彼女の先輩である以前に、まず一個人として味方でありたかった。
「もしかして保育園のこと?」
「……」
「落ち付いて、一度戻ろうよ。私が校長に話すよ…」
しかし彼女は足を止めない。
駅へ向かう坂道は、なだらかな一本道で。
“あ…”
ふと坂の反対側から、背広を脇に抱えたワイシャツ姿の元が来たが、私はその不思議そうな丸い瞳を一瞬見るだけで、後はずっと絵里先生に付いて行った。
「貴方が辞めたら、クラスの子ども達悲しむよ!」
「わかります。わかりますけど、もう我慢の限界なんですっ!!」
「絵里…」
「すいません…」
最初のコメントを投稿しよう!