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年明けて1月-
こわごわ受けた健康診断の再検査がシロと出て、重圧から解放される気分で3学期を迎えた。
心配で、本当に生きた心地のしない正月だった。
同時に、普段忙しく仕事ができることのありがたさも知った。
そう,もう20代の時のような、なりふり構わず突っ走るスタイルではいけない。
私はちょっと成長を見せていた。
「豆、魚、野菜は意識して取りましょう,ヨーグルトは続けないと意味がありません、と」
偏食が少しだけ減って、色々な食材を、体と相談しながら食べるようになった。
それだけじゃない。
休日には自分で料理を作り、食べた。
初任の授業でしょっぱくなった味噌汁も、ぐちゃぐちゃになったゆで卵も、ここにきてようやく上手く出来るようになった。
友達からは「1人分ぐらい、わざわざ作らなくてもいいんじゃない?」なんて言われるけど、私はただ作ることが楽しいから作っている。
自分のために、自分の好みで作るのが好きなんだ。
土曜日はいつもスポーツクラブの声で賑やかだけど、今日は誰もいない,静かな校庭だった。
私は3階の自分の教室へと上がり、窓を開け放つ。
まだ少し肌寒い風ではあったが、春のにおいを含んでいた。
さあて、これから昼まで集中するぞ。
私は背伸びをしては一人、机に向かって仕事をはじめた。
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