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案内されたのは、おしゃれだが高級過ぎないイタリアンのレストランだった。
個室に案内されて武司と二人でコース料理を食べる。武司がおずおずと麻里に訊く。
「で、その、どうだった? 僕の家族」
「退屈しないで済みそうなご両親ね。あんな面白いお姑さんが二人も同時に出来るなら、楽しい結婚生活になりそう」
「そう。そう言ってくれると安心だ」
「それで、今度はあのご両親をあたしの実家にお呼びしたいんだけど。うちの両親も大体の事は知ってるし」
「ああ、そうだね。こっちからご挨拶に行くのが筋だった。分かった、二人のママに予定訊いておくよ」
麻里を駅の改札口に送り届け、武司が家に帰ると、美咲と麗子がリビングから手招きした。美咲はさっきと打って変わって真剣な表情になっていた。
麗子が先に口を開いた。
「武司君、麻里さんの反応はどうだった?」
「え? 反応って何?」
「この結婚、もう少し考えさせてくれないか、とか言われなかった?」
「ああ、それか。大丈夫、こう言ってったよ。あんな面白そうな姑が二人もできるなら、退屈しないで済みそうだとか」
美咲が武司にいきなり抱きついた。
「やっぱりあたしたちの息子だ。女を見る目は確かだったんだね」
「ちょっと苦しいよ、美咲ママ。もう子供じゃないんだから、抱きつかないで」
「やあよ。あたしたちは親なんだから、いくつになろうが、タケちゃんはあたしたちの子どもだもんね」
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