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第17章03
暫し後。黒船より先にアンバーは石置き場のブルートパーズの所へ戻る。
剣菱、ブリッジの窓から下を眺めつつ「しっかし凄い石ばっかりだ…。」
マリア、探知して「ここ、地下にも鉱石柱が…。あ、そうか大きい柱は上に置いて、小さいのは地下なのね」
ネイビー、前方のカルナギの船を指差し「あ、ブルートパーズの荷降ろし作業が始まった。」
見ると有翼種たちが忙しく動いている。石屋が積荷の鉱石柱を査定し、柱の一本一本に番号札の付いたベルトを括り付けると、カルナギ達がそれを運び地上に降ろす。地上の鉱石集積所の有翼種たちがそれを運搬用の小さな台船に載せる。その台船は集積所から少し離れた所の建物の中に入って行く。
マリア、それを指差して「あそこから地下に持っていくのね」
剣菱「なるほどなぁ…。」と見物していると、スピーカーから『次、アンバーの柱に行くぞー』
剣菱「出番が来た」というと受話器を取って「了解!」
ターさんやドゥリー達と共に有翼種の石屋がアンバーの甲板に来ると、積み荷の鉱石柱の査定をはじめる。数人でアチコチ念入りにチェックすると番号札の付いたベルトを巻き付けて「これ降ろして。」
ターさん、護たちに「番号札がついた柱の台木を外して」
護たち「ほいー」
トゥインタ「外した台木は木箱に入れてな」
アンバーからどんどん柱が降ろされる。
その間に、黒船が石置き場にやってきてアンバーの背後につく。
黒船の甲板ではジェッソ達がアンバーの様子を見ている。そこへ総司と静流がやってくる。
総司「おー。降ろしてる降ろしてる。」
昴、気づいて「あれ。副長、なんでここに」
総司「野次馬です。この柱をどんな風に降ろすのか、見学に来ました。」
ジェッソ「今、操船は誰が?」
静流「船長です。」
総司「どうしてもやりたいというので」
ジェッソ「なるほ」
黒船のブリッジでは。
駿河が操縦席にいて、船長席にアメジストがいる。
三等操縦士のアメジストはちょっとため息ついて「…私も操船したかったなー。凄い荷物を積んでる状態。やってみたかった!」
駿河「まぁまたこういう機会あるよ。その時にはやらせるから。」
アメジスト「やらないと上手くならないですもん」と言うと操縦席の駿河の横に来て「じっくり見て、勉強しときます!」
駿河「プレッシャー掛けてきたな」
アメジスト「勿論!」
アンバーの甲板から全ての鉱石柱が降ろされる。
カルナギ、タクに「タク、台木のコンテナをウチの船に持ってけ!」と指示すると穣たちに「次、俺達は黒船の柱を降ろすが、その間にアンバーは貨物室の石茶石を降ろすんだ。まず場所を移動する。ター、後は頼んだ!」と言って耳からアンバー用のインカムを外してターさんに渡す。
ターさん「ほい」と受け取ってインカムを耳につける。カルナギは黒船の方に飛んでいく。
ターさん、インカムに「船長、船を移動します、俺に続いて飛んで来て!」と言いつつ飛んで船の前方、ブリッジの前へ。
穣「俺達は中に入って積荷を降ろす準備だ!」と言いつつハッチから船内へ。
マゼンタ達も「おー!」と言って穣に続いて船内へ。
アンバーはターさんの指示に従ってゆっくりと移動し、様々な石を入れたコンテナが沢山置いてある場所に到着する。
ターさん「ストーップ」とブリッジに停止の合図をして「ここでコンテナ降ろします!」
ブリッジの剣菱「よっしゃ」というと受話器に「皆、ここで積荷降ろしだ!採掘監督ー!」
するとスピーカーから『了解!採掘口を開けます!』
アンバーの採掘口が開き、採掘口のタラップから怪力メンバーがどんどんコンテナを運び出す。
すると石屋がすぐにコンテナを開けて中の石を見始める。
石屋「おー。眠り石。なかなかイイね」というと小さ目の空の木箱をいくつか持ってきて並べると、コンテナの中の眠り石を取り出しつつパパッと査定して仕分け始める。石屋が数人でコンテナから石を取り出してパッと観てはポイポイといくつかの木箱に仕分けていく。
その様子を見て、穣「査定するのはっや!」
マゼンタ「人力でやるんだ…」
すると一人の石屋が手を止めて「人工種は採った石をどうすんの」
穣「いやまぁ、こういう石は人力で査定するけども」
悠斗「機械で選別する事もあるけど」
穣「そもそも俺らはイェソド鉱石の採掘がメインなんで、鉱石入れたコンテナを機械で横にして、集積タンクにザバッと移して終わり。」
石屋「まぁ採る石にもよるな。色んなやり方があるって事だな」と言い作業に戻る。
と、その時。少し離れた所に居たオーキッドが「うわぁ!黒船凄いよ!見て見て」と穣たちを呼ぶ。
穣たちが行くと、黒船が鉱石柱を降ろす作業をしている最中だった。
黒船の上には、船体の下にワイヤーを吊り下げた運搬船が居る。その運搬船のワイヤーを、黒船メンバー達が甲板の鉱石柱に括り付けると、運搬船は鉱石柱を水平に吊り下げつつちょっと上昇し、そのままスライドするように移動して、大きな鉱石柱が置いてある集積所に行き柱を地面に降ろす。
穣「あれ柱専用の運搬船なんだな」と言い「ん。」と何かに気づいて「そうだ。採掘船でもアレが…できんかな?」
護「アレって?」
穣「人工種だけで鉱石柱を採る時に、柱を採掘口からワイヤーで吊って、もう一隻の甲板に載せるとか」
透「その前にまず柱を横倒しにしないと吊れなくない?」
穣「横倒しにしちゃえばいいやん。」
護「場所があればね」
穣「飛べない奴は飛べないなりに採り方考えるんよ。いつかやってみたいな」
そこへターさんが飛んで来ると「ねぇねぇ君達、あのでっかいブドウ石、凄いじゃん!よくあんなの採ったねぇ!」
護「やっぱターさんもビックリした。」
すると悠斗が「ふ…。探知と協力して地面を掘り掘りして採ったのです。」
ターさん「アレは凄いよ!石茶石を採るのは個人採掘師が多いから、ああいうデカイのはなかなか採れなくて出回らないんだ。あのサイズだと、もう石茶用じゃないし」
マゼンタ「え。何に使うの」
護「観賞用」
ターさん「石好きが集めるの。」
マゼンタ「あー、そっち系ね。」
ターさん「石屋の皆が喜んでる。ブドウ石なのに鉱石柱並の値が付いたって」
護たち「ほぅ!」
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