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所変わって、ジェッソと穣。レイモンドの道具屋にて。
レイモンドはケテル石で出来た普通の大きさのスコップをジェッソに渡して「これはどう?」
ジェッソ、スコップを持つと「これは持ちやすい。さっきのと同じなのに持った感じが違う。」
レイモンド、横の壁に立てかけたスコップを手に取り「形は同じだけど石が違うんだ。」
穣「へぇ…。」
レイモンド、ジェッソに「貴方に斧を持たせたら太い鉱石柱を一気に切れそうだけど」
ジェッソ「私はスコップがいいのです。かなり大きなスコップが」
レイモンド「どの位の?」
ジェッソ、腕を広げて「この位の幅があるといい」
レイモンド「そんなに?」と驚いて「そんな大きなスコップは作った事がないなぁ。でも石を持ってきたら作るよ」
ジェッソ「つまり自分で採って来ると」
レイモンド「大体の人は自分で採って持ってくるけどね。別に石屋で買ってきてもいいよ。要は自分に合う石に出会えばいいんだ」
穣「出会う?」
レイモンド「うん。石と共鳴するというか。惹き合う」
穣「もしその石がスゴイ高かったらどうするの」
レイモンド「どうしても欲しいなら頑張って買うだろうし、諦めるなら別の出会いがあるし。」
穣「なるほ。じゃあ行こうか、石屋巡りに」
ジェッソ「うん。」と言い「あ、スコップを作るにはどの位の大きさの石が必要なんですか」
レイモンド「作りたいスコップの大きさより、やや大きく…書いた方がいいな。」と言いペンを取る。
ジェッソ「ちなみに、費用はどの位かかりますか」
レイモンド「あー…。大きなスコップ…。持ってきた石の大きさによるなぁ。普通のスコップだと基本3000ケテラで作るけど。じゃあ普通のスコップの何倍の大きさかって事で考えて、大体1万5000かな?とりあえずは」
ジェッソ「了解しました。」
穣「…頑張って稼がないとなー。」
レイモンド、ふと「あ、そうか。」と言うと「…まぁ代金は後払いでもいいし。」
ジェッソ「今後また有翼種の皆さんと一緒に採掘すると思うので、資金が貯まったらその時に。」
穣「まずは石屋でどんな石がどの位の値段なのか見てきます。」
ジェッソ「でもお蔭でイェソドでの個人的な目標が出来ました。」と微笑む
その頃、本屋に行った昴たちは。
…本屋は二階まで吹き抜けの建物で、一階から二階が見えるようになっている。
総司、店内を見つつ「天井が高い…。吹き抜けはいいけど、二階の床に柵も何もないぞ。」
リキテクス「つまり落下防止っていう概念が無いんだな。」
有翼種達は、一階と二階を飛んで移動している。
総司「むしろ一階から二階に飛んで行ってるしな!」
店の中に何本か立っている太い石柱も本棚になっていて、ちょっとした足場がついている。
リキテクス「柱についてる足場も、本の落下防止であって人の落下防止じゃないな」
総司「うん。…ていうかこの本棚の柱の上の方の本、俺達はどうやって見れば…。」と言いつつ上を見上げて「せめて梯子を…(汗)」
リキテクス「店員さんに頼むしかないな。流石は飛べる人々の本屋だ…。」
と、そこへ良太が「お!これ船の雑誌だ」と言い傍らの本棚の雑誌を手に取る。
リキテクス「おー」と良太が持つ本を見る。
良太、パラパラとページをめくりつつ「…お、エンジンだ。この本、買おうかな」
昴は「…それより鉱石図鑑」と言い、リキテクス達から離れる。
すると夏樹が「あ、あそこじゃないか」と角の本棚を指差す。
昴、そこへ駆け寄り「あったあっ…た、けど…。」
そこには鉱石図鑑コーナーと言えるほど鉱石の本がズラリと並んでいる。
夏樹「こんなにあるのか!」
昴「イェソド侮れない。…どれ買えばいいのー」
夏樹「店員さんにオススメを聞いてみよう。」
近くの食料品店では、ジュリアとアキが野菜類を見ている。
ジュリア「野菜が沢山!有翼種って野菜好きなのかしら」
アキ、瓢箪のような野菜を手に取り「え!これカボチャなの」
ジュリア「面白い形のカボチャね!どんな味なのかな」
すると近くに居た有翼種の買い物客が「それ、甘くて美味しいわよ。スープに最適」
ジュリア「これ使い方や保存は普通のカボチャと同じですか?」
有翼種「ええ。切ったらワタを取って冷蔵庫がいいわね」
ジュリア「ありがとう」
アキ「よしこれ買って行こう。」
ジュリア「私も」と手に取る
アキとジュリアは店内を歩きつつ、あちこちを見て「…それにしても意外に色んな食材揃ってるのね。まぁ流石に海のお魚は無いけど。」
ジュリア「でも海苔やワカメみたいな乾燥させた海の幸はあるから、飛んで海にでも行ってるのかしら」
そこへアキが「あれ。見て!なんか石が売ってる」と棚に色々な石が置いてあるコーナーを指差す。
中和石や麦飯石などが置いてある。
アキ「スーパーで中和石売ってる!」
ジュリア「あら麦飯石」と言い卵サイズの丸い石を手に取ると「これ水に入れておくと、水が美味しくなるわよ。」
アキ「え!そうなの」
ジュリア「その水でご飯を炊くと、ふっくら美味しく炊きあがるし」
アキ「それ買って行く!」
少し離れた所の服飾店では。
ネイビー、スカートを手に取って見つつ「やっぱ有翼種って飛ぶから、中までオシャレにすんのね」
シナモン「中って?」
ネイビー、スカートの裏地を見せて「こういうトコよ。下から見てもオシャレっていう。」
シナモン「そっかー!」
シトロネラ「丸見えだもんねぇ。」
ネイビー「あたし好きだなーこういうカッコイイ系」と言い洒落たデザインのスカートを手に取ると「裏地すごいキレイなんだけど、でも飛ばない人には何の意味も無いっていう」
メリッサ「チラ見させたら?ちょっと裾をまくってみるとか」
シトロネラ「それ誤解されそうじゃん」
メリッサ「誤解から始まる付き合いってのもあったり?…大体、恋愛なんて誤解オンパレードだし」
シナモン「えぇー!」
シトロネラ「…愛恋なんて誤解ばっかよ。夢なんか見ちゃダメ」
シナモン「そんなぁ」
シトロネラ「シナモンちゃん、まだ恋愛に夢を見るお年頃だから」
ネイビー「私もまだ夢見てるわよ。よし、私、誤解から始まる付き合い狙おう!これいくら…あ。高かった…。」値札見てガックリ
メリッサ「残念!」
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