第19章02

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そして午後3時半近く… パンを食べながら採掘船停泊所への道を歩いているジェッソと穣。 ジェッソは小さな紙袋を、穣は大きめの紙袋を片手に抱えている。 穣、パンを食べつつ「適当に選んだけどこれ美味い。リンゴが入ってた。」 ジェッソもパンを食べながら「私のはブルーベリーだな。モチモチしてて美味い。…て、あれは!空飛んでる」と空を見上げる。 穣「んん?」と穣も空を見て「あらま」 見ればターさんが駿河を背中に背負って飛んでいる。ターさんの背中に駿河が掴まっている感じ。 穣「何かあったんかな。ターさんに送ってもらうなんて」 ジェッソ「あの船長、真面目だから時間厳守で急がせたか…?」 穣「って訳でも無いような。なんか空の上グルグルしてる」 ジェッソ「何をしてるんだ…?」 駿河「気持ちいいー!やっぱ空っていいよな!」 ターさん「風が気持ちいいよね!」 駿河「俺いつもブリッジだから風なんか感じられないよ!いいなぁ有翼種って。」 ターさん笑って「いいだろ」 駿河「そういや俺、昔は休みに小型船レンタルして一人でアチコチ飛んでたなー。いつの間にかやらなくなったけど」 ターさん「空が好きなの?」 駿河「かもなぁ。船の操縦も好きだよ。船長になるとあんまり操縦しないけど…。」と寂しげに言う。 ターさん、そんな駿河に「やりたい事はやろう!」 駿河「まぁ今は船長を頑張るよ。あ、ジェッソさん達がこっちを見てる。」 ターさん「じゃあそろそろ降りよう。」 駿河「そのうちまた飛んで下さい!」 ターさん「いいよ!」 2人は採掘船停泊所の入り口でターさんと駿河を見ていたジェッソと穣の前に着地する。 穣、ターさんと駿河に「一体、何してたん?」 ターさん&駿河「空の散歩」 ターさん、ジェッソが持つ紙袋を指差し「それ妖精クッキーだな。」 駿河「なにそれ」 ジェッソ「こんなのです」と駿河の前に紙袋を差し出す。 駿河、中のクッキーを一つ摘まんで「カワイイクッキーだなぁ」 ジェッソ、穣に「パンもう一個くれ」と言うと、穣の持つ大きめの紙袋から紙に包まれたパンを取り出す 穣「石屋巡りしてたら昼飯食べる時間無くなったので、さっき適当にパン買って来た。」 ターさん「え、じゃあそれ昼飯?」 穣「うん、あとその妖精クッキーな。そっちはどこ行ってきたの」 駿河「最初は皆と色々行ったけど、途中で別れてターさんと昼飯食べてお茶して空の散歩しながら戻った」 そこへ遠方から話し声が近づいて来る。 ターさん「皆、戻って来た」 剣菱とマゼンタ達が戻って来る。 大和「イェソドって凄い楽しい。」 オーキッド「美味しいものいっぱいあるし!」 マゼンタ「船長また遊びに来ましょう!」 剣菱「やれやれ。まるで沢山、子供がいるみたいだ」と笑いつつ(幸せだな…。長い事、管理との狭間で耐えて来た甲斐があった…) 一同は停泊所入り口の穣たちの方へ。 マゼンタ、穣を指差し「あ、パン食ってる!」 穣「あげないぞ!」 ジェッソ「クッキーならちょっとあげよう」 大和「あ、妖精クッキーだ!」 剣菱「こいつら、もう散々食ったので何もあげないで下さい」 穣「何を食べて来たの」 オーキッド「色々!」 マゼンタ「アイスとかケーキとかドーナツとか」 駿河、剣菱に「カルロスさんは?」 剣菱「上総君と一緒に二件目の石茶屋に行った。」と言い、穣とジェッソに「石屋はどうだった?」 穣「凄い色々勉強になった」 ジェッソ「視野が広がりました」と言い、駿河に「船長。そのうち我々の方の石屋に石の売り込みをしましょう!」 駿河「え」 ジェッソ「採掘船本部はイェソド鉱石以外は眼中に無いので。仕事の幅…つまり扱う石の種類の幅を広げる為にはまず石屋を味方につけないと。」 駿河「いいけど俺、石のことはよくワカラン…。」 穣「大丈夫!それ採掘監督がやりますから」 ジェッソ「石の事は採掘監督の仕事、船の事は船長の仕事」 駿河「そういやカルナギさんって船長だけど採掘監督でもあるような」 剣菱「カルナギさんは兼任してる。船によるらしい」 ジェッソ「ともかく船長は管理との折衝をしてくれればOKです。」 駿河「それが一番メンドイ」 剣菱「わかる。」 そこへ「ただいまー!」と声がする。声の方向を見ると護が走って来る。その背後にマリアと透。 ターさんたち「おかえりー」 護、穣を見て「パン食ってるし」 穣「俺らの昼飯じゃい。石屋巡りで食うヒマ無かったの!」 護、剣菱に「船長!プレゼントがあります。俺と透とマリアさんで選んで作りました。」と言うとマリアがキレイな布地の小さな巾着袋を両手にのせて「はい!」と剣菱に差し出す。 剣菱「え?」と驚いて「プレゼント?…何買って来たんだ」と言い巾着を手に取り、開けて中を見ると「おお」と言い中からキレイな黄色とオレンジのブレスレットを取り出す。 剣菱「…アンバーやん。」 透「はい。アンバーのブレスレットです。」 マリア「駿河船長がオブシディアンのブレスレット作ってたから」と言った所で 剣菱「え」と驚いて駿河を見ると「アンタ、アクセ屋に行ったんか」 駿河「…作りたいものがあったので。」と言い、ちょっと袖を上げてオブシディアンのブレスレットを見せると、照れつつ「これ。」 剣菱「ほぉ!」 ジェッソ「おお…。」 マリア「剣菱船長にもアンバー着けて欲しいなって」 剣菱「うんうん。着けるよ。」と言い早速手首に着けると「ありがとう!」 穣「マリアさんはどんなブレス作ったの」 マリア、腕に着けたブレスレットを見せて「これ!カーネリアンとシトリンとケテル石。イエローケテルのイヤリングも作っちゃった」 穣「おー!」と言い「護は?」 護「俺は」と言いかけたところで 透「アンバーのイヤリング作った」 護「着けないぞ!」 透「着ければいいのに。俺みたいにさ」と言い耳のイヤリングを見せてから「俺のブレスレットこれ」といい腕のブレスを見せるが 穣「聞いてねーよ」 透「えー。」 護「よしこのイヤリング穣さんにプレゼントする」とアンバーのイヤリングを取り出す 穣「はぅ?!」 護「アンバーの採掘監督の証だ!」 穣「い、いらねーよ、ハチマキとイヤリングってヘンだろ!何なら船長に」 剣菱「なんですと」と言い「そしたら黒船の船長もオブシディアンのイヤリング着けるんだな!」 駿河「え」 穣「そっか俺がイヤリング着ければジェッソも!」 ジェッソ「なんですと」と言い「さて皆さんそろそろ船の中に入りませんか!」 剣菱「そうだそうだ」 穣「行くべ!」 ジェッソ、船の方へ歩きつつ「その前に穣、パンくれ」 穣「あれ。お前何個食った?」 ジェッソ「忘れた」 穣「俺3つしか食ってねーぞ。8個買ったんだから、最後のは俺のだ!」 ジェッソ「くぅ。」
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