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第20章01
その頃、アンバーのブリッジでは。
剣菱がたった一人で船長席で鉱石図鑑を見ている。剣菱、ちょっと時計を見ると(…もうすぐ夕飯スタートの時間なんだが黒船さんから連絡ないなぁ。護も戻って来ないし。まぁ話に華が咲いて長居してんだろうな)
そこへ「船長!ただいま戻りました!」という護の声と同時に「お邪魔します!」と声が。
剣菱「おか…」と言ってブリッジの入り口を見て「え?」と驚く
駿河「黒船に戻るついでにアンバーに寄ってみました!」
剣菱「はぁ。」と言い「一体、どしたん?!」
駿河「実は明日、戻る時に周防先生がダアトの遺跡に寄りたいというのでどうしたもんかと」
剣菱「ほぉ。俺は別にいいけど、一応皆に聞かないと。あ、周防先生は?」
駿河「周防先生は今夜もカナンさんの家に泊まりで、この後、20時からカナンさんの家で石茶のお茶会するので参加したい人はどうぞ、と。」
カルロス「先着10人位だけれども」
剣菱「ほぉ。」と言い「とりあえず皆に聞かないとな!」と言って立ち上がると「しかしビックリした。まさかアンタが来るとは」と言いつつブリッジを出る。
駿河もブリッジを出ながら楽しそうに「こんな時でもないとアンバー入れませんから」
剣菱「入りたかったんか」
駿河「やっぱ他船って興味あるじゃないですか。どんなかなって」
護「ちなみに船長、その鉱石図鑑は船長のですか?」
剣菱「いや機関長が買ったのを借りて見てただけ。」と言い「アンタらが戻って来るの遅いから一人でブリッジで留守番してたんだ。」
駿河「周防先生を迎えに行ったらカナンさんと2人で図書館に行ったと言われて。」
剣菱「あらま。」
駿河「図書館に行ったら周防先生が人工有翼種の本の複写を取っていて」
剣菱「人工有翼種?…っていうと」と言い、食堂に入ろうとして立ち止まり、駿河を見る。
駿河「ダアトの御剣研の」
剣菱「御剣研って…アレか」
そこへ食堂の入り口付近に居た穣が「俺が遺跡で見つけた奴です!」
駿河「つまり霧島研にも無い情報を図書館で得たと」
剣菱「ほぉー…お宝発見だな周防先生」
穣「何の話?そもそも何で黒船の船長が居るの」
駿河「俺は単にアンバーの中に入ってみたかっただけ」
剣菱「あー…。とりあえず、明日、本部に戻る時に周防先生がダアトの御剣研に寄りたいんだと。いいかな皆」
一同「はーい」「オッケー」「いいですよー」
剣菱「あと今夜20時からカナンさんの家で石茶のお茶会があるそうだ。行きたい人、どの位いる?」
穣「はい!」と手を挙げる
透「はい!」
マゼンタ「はいー」
マリア、良太も手を挙げる。
剣菱「結構いるなぁ。俺も行きたいんだが先着10名だろ。黒船さんの希望者多そうだし」
護「じゃあ行きたい人は20時ちょっと前にタラップ下に集合して、そこでじゃんけんして決めたら」
穣「それだ」
剣菱「そうしよう。」
護「ところで皆、ニュースだよー」と言うと封筒から新聞を取り出して皆に見せる「これ!」
一同「おお!」
悠斗「おおおお!」
マゼンタ「新聞載ったぁ!」
マリア「ダアトの記事もあるー!」
穣「透、写真使われたぜ!」
透「最高画質で出しといて良かった!」
そんな騒ぎを見つつ、駿河「では私は黒船に帰ります。お邪魔しました!」と一礼するとカルロスと共に食堂から出る。
穣「…あの人、だんだん面白い人になってきた。」
剣菱「うむ。この先楽しみだな。」ニヤリ
駿河はカルロスと共にアンバーのタラップを降りつつ「これでブルー、アンバー、黒船と採掘船三隻制覇しました。」
カルロス「ふっ!私なんぞシトリン、レッドコーラル、ブルー、アンバー、黒船と五隻制覇しております。」
駿河、ふと「あれ、ブルーにもいたの?」と立ち止まってカルロスを見る。
カルロス「1年だけ居ましたよ。その後アンバーに2年で黒船です。当時は穣より満の方がまだマシだと思ってましたが、今、振り返ると満より穣の方がよっぽどマトモだった。」
駿河、それを聞いて笑い出す
カルロス「行こう」と言って走り出す。黒船に戻って行く2人。
一方その頃、カナンの家では。
周防がターさんの腕から血液を採取している。採血器具の針を抜いた所をアルコール綿で抑えると、ターさんに「ここしっかり押さえて。血が止まるまで。止まったらそこの小さい絆創膏貼って」
ターさん「はい」と言うと「まさかこんなとこで採血されるとはー。」
周防は血の入った採血管を専用の保存容器に入れ、後片付けを始める。
ターさん「…採血したの何年振りだろう…。」
周防「健康診断とか行かないの?」
ターさん「今は行かなくなった。昔、病気してた頃は行ってたけど」
周防「え」
カナン「病気?」
ターさん「俺、昔はよく病気してたんです。」
カナン「…意外だねぇ」
セフィリア「どんな病気だったの」
ターさん「まぁ色々…。でも原因が分からないし何でこんななのかなと色々悩んで。そしたらある先生が、好きな事を思いっきりやったら良くなるっていうから、その時から好きな事やり始めたら本当に治った。」
カナン「ほぉ」
周防「…。」何か思案げな表情でターさんを見つめる。
ターさん「好きな事って言われても、最初は自分が何をしたいか分からないし、周りの人にどう思われるか怖くてなかなか出来なかった。でもとにかく色々やってみた。そしたらなぜか採掘師になる事になって…。病気がちだった奴が採掘師ですよ。あり得ないでしょう。」
周防「いやいや」
ターさん「採掘師してたらどんどん健康になって、なぜかどうしても『壁』の外に出たくなって。出たらもう中に戻りたくなくなった」と言い笑う。「洞窟に寝泊まりしようが食べるものが無かろうが、とにかく楽しかったんです。仲間と一緒に変な小屋作って住んだり…。今はあんな立派な家になりましたけどね!」
カナン「あの家、どうやってあそこに建てたの。」
セフィリア「待って。そろそろ夕飯を食べに行かないと」
カナン「そうだった。じゃあ話の続きはレストランで食事しながらしよう。」
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