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第20章02
剣菱達は狭い石階段を降り始める。
剣菱「これ、戻る時、上がって来るのか」
駿河「ですね。」
マゼンタ「有翼種って飛べる割に階段あるのは何でだろ」
透「飛ぶのも疲れるんだよきっと。」
マゼンタ「あー。」
上総「でも階段無かったら俺達すごく困るよ」
マゼンタ「下りるのはいいけど上がれないモンなー」
一同は階段を下りて駿河の先導でカナンの店へ。
木の板に石と妖精の絵が描かれた『カナンの店』の看板が見えて来る。
剣菱「あれか。図書館のすぐ近くなんだな」
駿河「うん」と言うとカナンの店のドアを開けて「こんばんは」
するとターさんが出て来て「おかえり…じゃないや、間違えた!」それを聞いて入り口近くのテーブル席で冊子を見ていた周防とカナンが笑う。
駿河「ただいま」
ターさん「とにかく入って!」
駿河「お邪魔します」
剣菱「お邪魔しまーす」
一同、ゾロゾロと中に入る。
駿河、剣菱達に「とりあえず勝ち組は適当に席について」
カナン、席を立つと「随分いっぱい来たね!何人来たの」
駿河「14人です。」
カナン「あらまぁ」と言いカウンターの裏へ行く
ターさん「あれ?護君とカルさんは?」
駿河「じゃんけんに負けたので採掘船待機組です。」
ターさん「じゃんけん?」
駿河「最初は希望者が20人居たんですよ。じゃんけん勝負で勝った10人と敗者復活の4人が店に来ました。」
ターさん「へぇ!」
周防「なんか面白い事やってるな」と言い笑う
そこへカナンが折り畳みの丸椅子を持ってくると「これ2つ。あと4つ奥から持ってくるよ」
ターさん「手伝います」と言いカナンと共にカウンターの裏の自宅へ続く廊下に入って行く。
マゼンタ、窓際の棚の上で寝ている妖精を見て「わ!置物かと思ったら妖精だった。」と言い妖精の足をつつく。
妖精「~~」
マゼンタ「起きないし。」
そこへ奥からお菓子が入った籠を持ったセフィリアが出てきて「あら凄い人数。満員になっちゃった。こんばんはー」
一同「こんばんはー」と同時にカナンとターさんが折り畳み丸椅子を2つずつ持ってくる。
カナン、セフィリアを指差し「私の奥さん。セフィリア」
セフィリア、丸いお菓子の入った小さな籠を各テーブルに置くと「米粉のボールクッキー、食べてね」
カナン、駿河たちに「私は丸椅子に座るから、誰か席に座っていいよ。」
静流「あ、じゃあ船長が」
駿河「じゃんけんだ」
シトロネラ「また?」
アメジスト「もうメンドイから船長座って!」
駿河「ハイ」と席に着く
カナン「じゃあ今、石茶淹れてあげるからね」
駿河「って、あの、ちなみに代金は」
カナン「石茶をご馳走すると言っただろう?お茶会しようと言ったのは私なんだから、いいの」と言ってカウンターの中に入る
駿河「でもこの人数ですよ?ターさんの家でも石茶頂いたし」
カナン「ご馳走させておくれよ。こんな機会、滅多にない。」
カウンターの中でお湯の準備をしているセフィリア「そうよねぇ」
穣「今後はあるかもしれませんよ、ウチの船、頻繁にイェソド来る予定だから」
カナン「その時は気軽に立ち寄ってくれ。あ、でも昼はランチで混むから皆で来るなら午後がいい」
剣菱「ランチもやってるんですか。なかなか大変では」
カナン「まぁ大変な時もあるけどもね。」と笑って「さてと。」と言い一同をじっと見て「どんな風に出そうかな。人間さん2人は中和石着けてるから…でも味があった方がいいか」と言い後ろの棚からお茶の缶を取り出すと、セフィリアに「これ人間さん用に」
セフィリア「はい」
カナン「あ、今晩は申し訳ないけどデリバリー用の紙コップで出すよ。本当は石茶カップで出したいけどこの時間だと洗う手間がね…。」
剣菱「それはもうお気になさらず」
穣「何でもオッケーです!」
カナン「この間、美味いって言ってたのが…4人か。でもあの子も多分、美味いって言うな」と静流を指差して言うと、後ろの棚から別の缶を取り出して「その人にどんな石茶が合うかなぁと考えて、出してみた時の反応を見るのが楽しいんだ。」
セフィリア「その日の体調や気分によって合う石茶が変わるしね」
マゼンタ「なんか、居酒屋でその人に合うカクテル作るみたいな」
すると剣菱が「お前、居酒屋行ったんか。まだ18の癖に」
マゼンタ「違うよテレビで見たんだよ!」
カナン、ジェッソ達を見つつ「で…石茶がワカランと言ってた人には、これ。」と言い別の缶を取り出し「あとター君と周防さんと我々はこれで行こう」ともう一つ、缶を取り出す
セフィリア、トレーに石茶を淹れた紙コップを乗せるとまず駿河の元へ「どうぞ」
駿河「ありがとうございます」
そして剣菱の元へ「どうぞ」
剣菱「ありがとうございます!初めての石茶です。…じゃあ先にちょっと飲んでもいいかな」
穣「どぞー」
ジェッソ「どうぞどうぞ」
剣菱「では」と言いちょっと口に含んで「おお?」
そこで駿河も「あれ?」
剣菱「…これ、アルコール入ってますか?」
するとカナンとセフィリア、周防、ターさんが笑い出す
カナン「いえ、入っていません。それはエネルギーの感覚です。」と笑いつつ言う
剣菱「え、エネルギー?」
駿河「この間、頂いた石茶とは全然違って、なんか…まるでワインみたいな」
セフィリア「お酒のような感じがするのは最初だけです。飲んでるうちに慣れて変わりますよ。」
剣菱「そうですか。」と言いまた一口飲んで「これ…美味いな。」
カナン「いやぁ…良かった。実はそれを飲んで何も感じないと、相当疲れてるって事になるので」
剣菱「そうなんですか」
カナン「ええ。お酒っぽく感じるって事は、相当元気なんですよ。」
穣「お」
マゼンタ「おおお」
剣菱「ふ…!」
その間にカナンはトレーに別の石茶の紙コップを乗せて上総や穣に配る。
穣「ありがとうございます!」と言い一口飲んで「美味!」
上総「ありがとうございまーす!」と言いカップを受け取り石茶を飲んで「うわぁ…!美味い」と目をキラキラさせる。
静流も「ありがとうございます。頂きます。」と言い一口飲んで「…うわぁ…美味しい。でも不思議だな」と言い石茶をマジマジと見て「これ…お茶ですか?色が無くて白湯に見えるんですけど」
すると周防が「それ、殆どイェソド鉱石水だよ。」
静流「え!」
カナン「それが本当の石茶だから。」
セフィリア「ター君、あの棚の石茶石、彼に見せてあげて」
ターさん「うん」と言うと棚から販売用の石茶石の袋を取って静流に見せると「これを入れて作るんだ」
袋には小さなイェソド鉱石や様々な石が入っている。
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