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違和 7-1
「翠はお昼、どこで食べていたのかな?」
お父さんは怒ってもないし、お説教をするでもなかった。お母さんから事実をきいていただろうから。
答えようとして、涙がこぼれた。
「……おトイレで」
「図書館のか?」
「……うん」
「そうか、お母さんからきいたとき、そうじゃないかと思っていたんだが。自分で自分を傷つけるような真似はやめたほうがいい」
やっぱりお父さんもわたしがいじめに合っているんじゃないかって真っ先に心配してくれたみたいだった。
「逆に、いじめられているわけでもないのに、学校を休むというのは翠のなかで大きな問題かな」
「そうだと思う」
わたしはお父さんに、教室がまるでテレビに占領されていて、それを見ていないとよそ者扱いされるような空気がたまらなくイヤなことをぽつぽつと言葉を選びながら答えた。
そして、小学生だったころから感じていた、恐ろしさ。
「それはどんな?」
「小学校って休み時間はドッジボールをみんな遊んでいるでしょ、それがバレーボールのワールドカップがあったりすると、みんながみんなバレーボールを遊ぶようになっちゃう……」
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