真夏 9-2

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真夏 9-2

 実際に、決めたフリースクールへ行ってみて、その雰囲気にいいなと思った。  わたしは、中高生向きのオンライン・カタログで、私服校やフリースクールのための「なんちゃって制服」を見ていたのだけど、結局勧める人の多いイーストボーイの制服にした。  私服で登校すると、なんとなく気分がしまらない、そう思ったのだ。  わたしは三輪くんに電話をかけた。 「あした、また図書館行ったり、カフェでまったりお話したりできるかな?」 「できるよ。このあいだ貸したプラトンの『饗宴(きょうえん)』はどうだった?」 「至上の愛とは、学び合い、愛する者を成長させるもの……でいいんだよね」  わたしはなんだか顔が火照(ほて)るのを感じた。 「そうそう。けっこうボーイズラブっぽい箇所もあったり、でもあの本、今に至るまで影響を与えているんだ」 「読みやすくもあったし、三輪くんの紹介もよかったし」 「なら光栄だな」 「で、あした、ちょっとサプライズがあるの」 「えっ。どんな……と言っても聞いちゃサプライズじゃないか」  ふたりで笑った。
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