32人が本棚に入れています
本棚に追加
似ている/似合ってる 10-1
翌朝は早めに目覚めてしまい、わたしは読み終えたプラトンの『饗宴』をなにげなくぱらぱらと読み返していた。
そうか、プラトニック・ラヴ、つまりプラトン的な愛情とは、ただ清いだけじゃなくて、お互い知を愛する、そして知を愛する気持ちや知を求めるように導いてゆく、そんな関係なのか……。
朝ご飯を食べてからすぐ、イーストボーイの制服に着替えた。いつでも出かけられるように。
といっても図書館のロビーに朝10時って決めてあるのだけれど。
わたしのほうが先に着いて、で、わざと入り口に背を向けて座って三輪くんが来るのを待っていた。イーストボーイの胸元の自由の女神の刺繍がわかってもらえるかな?
「おはよう、制服買ったんだね」
背後から三輪くんの声。
わたしは立ってくるっと半回転した。
「磯崎さんに似合ってる! お姉さんっぽく見えるな」
「本当は高校生向けだからかも、お姉さんっぽく見えるの」
「ぼくなんかよりも重大な決意をして、これからとはいえ、その準備をしてる磯崎さんはまぶしいよ、なんだか」
最初のコメントを投稿しよう!