楽なんかじゃない 3-2

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楽なんかじゃない 3-2

 風立(かぜたち)第一中学の制服姿で図書館に朝一番でやってくる、それだけでもうなにか察してくれているのだろう。  本当に司書さんたちはなにも言ってきたりしてこなかった。  ただ、わたしはべつに本が好きではなかった。  だから、マンガもライトノベルもある、というツイートはそれほど興味をひかれなかった。音楽も流行(はや)っているものをときどき聴く感じだったし、はっきりいえばわたしは無趣味だ。  全図書委員の集会では、三輪くんは輝いて見えた。彼は自分の内側に宝物をたくさん持っている。  わたしは書記に徹していた。他の図書委員の生徒と本の話題で盛り上がる、その中心にいつも三輪くんがいた。  リムレスの眼鏡をかけて、意外と長身の三輪くん。  一度、「磯崎(いそざき)さんはどんな本読むの?」ときかれたことがある。  ちょっとのあいだ考えこんで、こう答えるのが精一杯だった。 「……わたしは委員のなかで図書委員が楽だと思ったから」  だから、三輪くんが図書委員に立候補したときに、女子の枠でわたしもすぐ立候補して、決まったのだった。  そして、重たい本を大事に扱う図書委員は楽でもなんでもない。
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