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くちゅくちゅっと音が強くなる。わざとなのか、興奮して擦り合う密度が高くなったせいなのか、耳が刺激されて、体温が上がっていく。
「花のべろ柔らかいし温かい。めっちゃやらしい……舌」
「……恥ずかしいよ」
唇を離すと唾液で唇が潤って、それをまた舌で舐めていく。息を吸い、また唇を重ね合う。指先は頬を撫でたり、首筋をなぞったり、肌に依存しているように触れ続けていく。
「他の場所にもキスはしていいの? 」
花の顔を両手で掴んで、悠は覗き込むように尋ねる。
「顔を……べろべろ舐めるのは嫌」
「じゃあ……どうすればいいの? 」
悠は花からパッと手を離して、花を膝に乗せたままベッドに手を付いて後ろに仰け反る。
「早く教えて……花ちゃん」
悠は舌をぺろっと出して悪戯に笑う。
「もしかして……わざとやってる? 」
「何が? 早くしてよ花」
花の髪に手を添えて、悠はそっと自分の首元に寄せる。花の髪の毛をゆっくりと解きながら、髪の毛に唇を寄せる。
「花……早く教えて。もっと触れたい」
よくよく考えれば20歳の健康的な男子が、セックスのやり方を知らないなんておかしな話だ。きっと騙されている。本当は全部知っているのに、年上女のお手並み拝見とでも思っているのかも知れない。そう怒りが込み上げて来ても、悠の指先や甘えた言葉に花は絆されていく。
「花……首のとこネクタイとボタン外して。苦しい」
悠は花におねだりするように、顔を少し持ち上げて首をぐっと出す。くっきりと出た喉仏に、青白い血管まで見えそうな首筋。
手触りの良いネクタイを、しゅるしゅると解いて、ボタンに手をかける。思ったより小さなボタンと、息を飲み込むたびに動く喉仏が気を散らしていく。
一つ二つとボタンを外していくと、襟元が緩んで悠のくっきりとした鎖骨が目に入る。汚れを知らない透き通るような肌。花は引き寄せられるように鎖骨に唇を寄せる。
「んっ……」
悠の湿った声が漏れる。花はそのまま舌を這わせて首筋に向かう。悠は体を少しよじらせながら、花の顔を見つめた。花の舌がいやらしく動いていく。悠は耐えきれずに人差し指を花の唇にあてた。
「……舐めて」
上から見下ろすような悠の儚げな目が、魔法をかけているようで花は素直に従った。悠の手を両手で持ち、花は出された人差し指を舌でぺろりと舐める。悠は人差し指と中指で、花の舌と唇をなぞっていく。
「あ……」
舌を刺激されて花は吐息が漏れる。花の口元から垂れた唾液を悠は手で拭って、舌を出し、花の唾液で濡れた指先を舐めた。その指をまた花の口の中に入れて、セックスに近いような粘膜の絡み合いに下半身は熱くなっていく。
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