好奇心がいっぱい

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「……電気消して欲しい」 「いいよ。後でいっぱい見るから」 「……電気」 「……うん」 「早く……電気」 「えっ? どこで消すん」 悠はベッドの上で可愛く座ったままキョロキョロと辺りを見回す。 「そ……こ。そこよ。そのボタンとかいっぱいあるとこよ」 悠の無知さにムードは失われ、花はベッドに項垂れながらナイトパネルを指差す。 「おっ! おーなんだこれ! すっげ」 ナイトパネルに装飾されたボタンに、悠は歓喜の声をあげた。喜びが溢れ出ている悠の後ろ姿を見ながら花は思った。 「……違う興奮が出ちゃってるじゃん」 悠がこっちかあっちかと声を上げながら、電気をパチパチと押す。顔はライトの方へと釣られて動いて、遊園地にでも来ているようだ。 すんとおさまった身体の火照りに花は、ふぅっと息をはき出す。 「ま、いっか」 10分近く経った頃だろうか。流行りの曲なんかも流れて、部屋でまったり気分になっていた。 「よし! 決まった。よし、花! おいでっ」 青いライトが薄暗く光って、曲はムード満点。満点なんだけど…… 「いやいや! もう冷めてるからっ。興ざめっ」 両手を広げた悠の手をすり抜けて、花はソファーに移動する。 「もう……お腹空いたし何か食べる! 」 「えっ。花……怒ってる? 」 「怒ってないよ。でもお腹空いた」 「んーまぁ確かに。え、でも何か食べるってルームサービスなんてあるの? 」 「ルームサービスなんて大層な感じじゃないけど色々食べ物あるはずだよ。ほらっ電気明るくして」 「えっ! せっかくこれに決めたのに? 」 「んー。もう……」 オモチャを捨てられた子供みたいな顔になる悠に、大人気ない態度をした自分を反省する。花はいじけた悠が座り込んだままのベッドに渋々戻った。 「今日ずっと一緒に居るんだから……」 「……怒ってる? 」 悠は花の背中に手を回して、花のお腹の辺りに顔を埋める。 「……怒ってないよ。ただ急に……えっちな感じに戻れないだけ。どうして良いか分からなかっただけ」 「俺……花に嫌われたくない」 自分勝手に振る舞うくせに、母性本能をくすぐるように甘えた声を出す悠の髪を撫でる。少し素直さの足りない自分を隠すように悠をそっと抱きしめた。 「嫌う訳ないでしょ? 」 「じゃあ……キスして」 ベッドに座ったままの悠の上にまたがるように腰を下ろす。少し俯いたままの悠の頬に触れ、唇にそっと触れた。 「もっと……して」 悠に促されるまま、キスを繰り返した。先に舌を出したのは花の方だった。慰めるように悠の舌に絡めていく。悠の手が花の背中に回って、白のシャツをもどかしそうに指先が掴んでいく。
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