デートと、合鍵と

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他愛のない会話をして、それすらドキドキして私は自分のカーディガンの裾をギュッと掴んで幸せな時間をかみしめる。 あぁ、こんな時間が永遠に続けばいいのにと思ってしまう。 広瀬さんの運転は普段仕事で同行しているから知っているのにこうやってプライベートで隣にいると全部が新鮮に感じる。 車を駐車場へ止めて、荷物を持って目的地まで歩く。 私たちと同じようにピクニックをするのか、家族やカップルの姿がチラホラ目に入る。 「瀬名って料理できんの?」 「んー、できるって言えるほど得意ではないですけど。それなりにしますよ」 「そうなんだ」 観光客も多いようだ。人の列の流れに従うように私たちもそれに続く。 休憩所などもあって都内なのにここだけ時間の流れがゆったりしているように感じる。 息を吸うと普段よりも空気がきれいなような気がする。 しばらくすると青々と茂る芝生が目に入る。 お昼も近いことからこの辺にブルーシートを敷いて昼食を取ろうということになった。
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