デートと、合鍵と

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私ははっとして隣の彼の顔を見る。 広瀬さんは普通通りの表情で、来年も、といった彼の真意を聞きたいのに聞けずに私は口を真一文字に結ぶ。 …今日は、絶対…聞くんだ。 ”気になる”以前言われたそれがどういう意味なのか。今日こそは絶対に聞いてやる。 そのあと、夕方になるまで私たちは新宿御苑を散歩したり休憩所で休んだり写真を撮ったりして楽しんだ。 …―― … 時刻はすでに17時を過ぎていた。 2人で車に乗って、夕陽が沈むのを確認しながらもうすぐこの時間が終わってしまうことに寂しさをおぼえる。 もっと一緒にいたいし、もっと広瀬さんを知りたい。その時間が欲しい。 …そんなことを考えているのは、きっと私だけなのだろうけど。 帰りの車内は二人とも口数が少ない。 ペットボトルのお茶を飲みながらボーっと窓の外を見ていた。 と。 「一度お前の家寄るけど、そのあと俺の家来ない?」 「…え、広瀬さんの家に、ですか」 車の中に流れる音楽が気づいたら消えていた。 私はその提案に何も答えられず、視線を落とした。 「迷惑?」 「…そんなことはないですが…」 曖昧な関係が嫌だった。広瀬さんはいったい私のこと、どう思っているのだろう。ただの後輩だろうか。 信号が変わって赤になる。と、同時に車がゆっくりと減速して止まった。 「付き合ってほしい」 「…え、」 「俺と付き合って」
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