酸いも甘いも、全部【完結】

デートと、合鍵と

「邪魔って…」
「そりゃそうじゃん、アイツは常に真っ直ぐに正直に思いをぶつけてくるだろ。結局そういうやつに敵わないんだよ」

どういう意味なのかわからなくて私は首を傾げた。

「明日、行ってもいいけど迎えにはいかせて」

広瀬さんが私の耳元で喋るからくすぐったい。
私はわかりました、と返事をした。
広瀬さんが迎えに来てくれるのか、こんなことを彼氏からされたことがない私は今からワクワクしていた。

夕食は、サバの味噌煮とひじきの煮物とお味噌汁、サラダに、ナスの煮びたしを作った。
どれも得意料理だったから広瀬さんは美味しいと言ってたくさん食べてくれた。
同棲しているようで、本当にくすぐったい。

さすがにお風呂は別だけど、寝るときも一緒だし、付き合ってこんなに距離が近いことを意外に思う。
そういうの嫌そうなイメージがあったのに、飲み会に行ったら迎えに来てくれるというし…私の中で勝手に構築していたイメージと乖離があるようだ。