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2020年4月
「菜々、俺、神奈川に転勤だ」
彼大騎とは幼馴染み、中学2年の頃から何だか自然と彼氏と彼女みたいになってそれからずっと。学部は違えど大学まで一緒。それから大騎は院生から社会人になり大阪勤務で1年経った。
私は大学を出て全国に勤務地がある勤め先に入った。運良く最初は地元勤務の仕事に就けていた。それでも大阪までは2時間かかる。ずっと一緒にいた彼氏がもっと離れる。不安だし悲かった。
「何でそんな仕事に就いたの!」
当たり所がない私は大騎に文句を言うしかなかった。
「今更何言ってるの?応援してくれてたじゃないか」
私の頭を右手グシャグシャにしながら、左手で涙を拭ってくれた。優しいだけが取り柄の奴。
「ちゃんと一緒にいられる様になる。それまで頑張ろうって約束したよね?菜々も試験受かって、そうしたらお互いの夢が叶う」
それはわかっていた。二人で頑張ろうって約束してた。
「でも一度位泣かせてよ」
「はいはい、どうぞ」
180センチの大騎に155センチの私が思いっきり抱きついて大声で泣いた。
大騎の前でこんなに泣くのは最初で最後と思って泣いたんだ。
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