終わりも始まりもないPrologue

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終わりも始まりもないPrologue

山奥から海辺に魂が飛ぶ 誰かの欲の為に開発された造成地区は 開発される事によって忌み地となった 一家惨殺から 廃墟となった一部屋 今にも隠れそうな 痩せ細った月が消える前に 影は浮遊する 風は冷たく辛い 死んでいるのに 生きてる時より寒い 崑崙虚の岩壁にしがみつく苔のような ガルーダの羽毛のような 重いような軽いような 夜空をびっしり埋め尽くす 闇に光る 深緑で灰色の雲は  それはそれは美しく怪しかった 雨のそぼ降る砂浜に佇んで 潮騒に混じって 歌が聴こえる もしも あんたが死んだなら  あんたの魂は 善悪の質量によって 振り分けられるのさ 呪怨の影は彼方此方 互いが互いに怯えていて 互いが互いを脅している 冷たい風が 冷たい雨が 影を打つ中 哀しい潮騒が 忌々しい潮騒が 心を鞭打つ 影は地獄に在る事を識る
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