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「ちょこちょこ母の日ギフトのコーナーは見てきたけど、なかなかいいものが見つからないんだよな」
「何が欲しいのか、よくわからないしね」
「いっそ、ものじゃなくてサービスを提供してみるか」
「サービス? どういうこと」
「いや、だから、目には見えないものだよ」
僕たちがまだ小さくて、自由に使えるお金をほとんど持っていなかったころは、定番であろう肩たたき券みたいなものを作ったことはある。
そのときの記憶はあまり覚えていないが、子どもながらに母親が嬉しそうにしていた印象はある。
それこそ、ここ最近のギフトよりも好感触だったかもしれない。
「家事を手伝う、的な?」
「まぁ、そうだな」
掃除や洗濯、料理などがそれにあたるだろうか。
確かに、これらは完全に母にまかせっきりだから、それもありかもしれない。
「それだったら何をする? 自分で言うのもあれだけど、どれもこれも上手にできる自信はないんだけど」
「そりゃ俺もそうだけど、こういうのは気持ちが大事だろ」
それはそうなんだろうけど、うちの母の場合、下手な手伝いをするくらいなら黙って見てろっていうタイプな気がする。
僕たちが洗濯や掃除をしても、そのあと母が結局やり直すという光景が容易に目に浮かぶ。
「あっ、だったら、夕食を外食に誘うとか」
「あぁ、そっちのほうがいいな。なんていうか、お互いにとって」
母親に料理をさせないという意味で、負担を軽減できているし、おいしいものも食べられる。
僕たちの実験的な料理を食べさせるくらいなら、お金を払ってプロの料理を食べてもらうほうがいいだろう。
「じゃあ、今年はそれでいこう。そしたら、近くにいいレストランがないか、探してみるね」
「頼む。金は俺のほうが少し多めに出すよ」
そんなわけで、今年の母の日における僕たちの動きが確定した。
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