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そして、私はパーティー会場から退場しようとした。したのだけど、邪魔が入った。
「ヘンリー?これは酷いんじゃないかな?ジュリア嬢が本当にエマ嬢を害したなんて証拠があったのかい?」
「兄上っ⁈」
え、ちょっとまって。なんで第一王子が出てくるの?周りはいつも目立たない日陰者の第一王子が出てきて驚いているし。うん、私も驚いている。
「それは、セントポーリア公爵夫人とジェームズから証拠の品として、手紙をもらいましたが……」
おぉ、やっぱり。継母と異母弟だったか。それにしても、お父様はこの近くにすらこないわね。もともとこれがあるとでも第二王子に聞いてたのかな。お父様は別に私たちの事を愛してないしねぇ。お母様とも継母とも結婚したのは家のためだし。お母様との間に男児が生まれてたら再婚なんてしなかっただろうしね。私たちの事も家の駒としかみてないもん。だからこんな酷い醜聞を作った娘は放っておくか。もしかしたら、第二王子は後でエマと婚約を結ぶのかもしれない。そうでなければ、私の名誉を挽回しようとでも頑張るだろうし。そうでないと家の評判が落ちるもんね。私の評判が落ちれば落ちるほどエマの評判が上がったから放っておかれてたけど、流石に国外追放となるとヤバいもんね。
「それだけか?」
「え?」
「証拠は手紙だけか?」
「はい、そうですけど……
それよりも兄上。急に出てきてどうしたのです?」
うん、警戒するのは当然だよね。私も初めは驚きが勝ったけど今は割と警戒してるし。特に第二王子が警戒するのは当然か。一応、王位争いをしている相手なんだし。ほとんど第二王子で確定っぽいけど。王位継承権も第一位だし。今回のでちょっと分からなくなったかもしれないけど。第二王子は政務をきちんとこなして実績も作ってるし母親は王妃で血筋も良いけど、第一王子は渡された政務はこなしていても自分から仕事を得ようとしない受け身の体制で母親も側室で血筋が劣るからなぁ。派閥的にも第二王子の方が大きいし活発だ。ここで出てくるなんて怪しすぎる。王族にしては珍しく侯爵令嬢と恋愛結婚をしたのだから私の事が好きという事もありえないし。
「ある人から頼まれていたからね。それに、流石に私もこんな事でかの国と関係を悪化させるのは避けたいんだよ。せめて、国内の貴族のみの場だったら良かったのだけど。あぁ、でも、あの二人なら知ってしまうかな。」
ある人とかかの国ってもしかして第一王子は知ってる?まって、なんで第一王子が知ってるの?この国でこの事を知ってるのは国王と王妃、そして私の亡くなった祖母だけのはず。そして、国王と王妃には誰にも漏らさないよう制約がかかってるって聞いてるんだけど。
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