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へぇ、評定者にそんなルールがあったんだ。評定者ってだれだろ?最近アルメラから来たといえば、ヴィオラ・フォン・コリル子爵令嬢くらいだよね。でも、ヴィオは子爵令嬢だし友人になったけどこの国の事を探るような事は私の知る限りしてないしそんな暇ないだろうし。でも、いろいろと継母や異母弟が出した悪評のせいで孤立している私と仲良くしておきながら別の人たちとも仲良くしてるしそっちの方から聞くという事も出来るか。
うーん、分からん。
「最近、アルメラから来たといえばヴィオラ・コリル子爵令嬢ぐらいだな。コリル嬢、出てまいれ。」
おい、第二王子。たとえヴィオが評定者だとしても誰か言い当てなきゃ意味ないじゃない。絶対に分かってないわよね。
「そなたが評定者だな。」
「…………」
「なんとか申せ。」
ヴィオは頭を下げたまま答えないけど、当り前だよね。答えないよりも答えられないってところだし。それにしても、もしも本当にヴィオが評定者なら王族、もしくはアルメラの女王陛下の忠臣だよね。第二王子のあの態度は平気なのかな。普通は国を治めているという事から大国、小国関係なしに王は同列とされているけど、五大国の王族は別でほかの国の国王と同列だから、もし王族ならば不敬だよ。
「ヘンリー、子爵令嬢じゃ王子に直接話せるような身分じゃないよ。」
「それと、うちの国の誰かという事も当ててもらわないと無理だけど。」
「ヘンリーが言わないのなら私が言おうか。ねぇ、ルルシーナ?」
ルルシーナ……ルルシーナってレイ様の妹だよね。何度か会ったことあるけどヴィオとルルシーナさんって全然似てないよ。見た目も性格も。でも見た目だけなら変えれるか、アルメラの王族は。確か、そういう魔道具を持っていたはず。そんな魔道具アルメラの王族くらいしか持ってないのではなかろうか。髪とか目の色を変える魔道具はあるけど見た目まで変えられるようなのはすっごく貴重だしなぁ。
でも、第一王子殿下がヴィオに話しかけられてもヴィオは黙ったままだった。むしろ、困惑しているみたいだ。そんな中、招待客が入場する扉の前の侍従の声が響いてきた。
「ア、アルメラ王国 ファーストナイト ルルシーナ殿下 入場」
対して大きくもない声が会場全体に通るのは会場内が静寂に包まれていたことと風の魔法で声を広げているから。なんて現実逃避をしてみる。
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