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ゆっくりとお花見をする余裕もないくらい、バタバタと忙しいまま流れゆく春。
ふと見上げた空には、すっかり散ってしまった桜の木に、青葉がゆらゆら柔らかい風に揺れていた。
引っ越しの荷物がようやく片付いた週末。
今日は征一さんの友人である辰典さんが遊びに来る予定になっている。
それなのに、征一さんは朝からため息ばかりだ。
なんでも、「あいつが来ると部屋の価値が下がる」んだそう。
意味はよく分からないけれど、俺はもう知っている。
二人はとても仲が良いってこと──。
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