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静まり返った部屋に、俺の吐息だけが響いては消えていく。
いつも通りがここにある。
今ここにいるのは、征一さんと俺だけなんじゃないかって、勘違いしてしまいそうだ。
リビングまでは距離がある。ここに辰典さんの気配はない。それなのに───
「いつもより反応いいな。辰典にバレないか心配で、興奮してんの?」
「ち、違っ……」
違う、と思う。
でも、へんな声が出ないように気を張り詰めているせいで、いつも以上に征一さんの動き一つ一つを敏感に感じ取ってしまうんだ。
だからなのか、普段より気が急ってもどかしい。
「ね、征一さん……あ、あんまり焦らさないでください」
「なに、つらいか。一回出しとく?」
「え? あっ!」
優しい愛撫で俺に触れていたはずの征一さんの舌が、急にスイッチが入ったみたいに下着の中に侵入してきた。
「やめ……っあ! だ、だめっ」
温かく湿った舌先が俺のに沿うよに這って、そこがとろとろとしているのが伝わってくる。それは俺からすでに出てしまっているモノのせいだ。
どうしよう、どうしよう。気持ちいい。
「んっ、ん、あ……」
いつの間にか自分の腰が浮いて、征一さんの動きに合わせるように撓っている。
恥ずかしいのに、自分の身体なのに、止められない。
それよりも征一さんの舌をいいところに当てたくて、当てて欲しくて、我慢できずに身を捩ってしまう。
「征一さ、も、俺……いっちゃいそ、」
「早いな、いいよ」
と、俺の宣言を聞いた征一さんの腕が、俺の胸までするりと伸びてきた。
「あ、それだめっ! 一緒にしたらっ」
俺のを口に咥えながら、指は乳首の先端を刺激してくる。これをされると、いつも気持ち良くなってすぐ達してしまうのに。
「あ、んっ! せい、ち、さ」
指が、爪が、立ち上がっている部分をカリカリと掻いてはつねって、摘まんでは転がしている。
もうムリだ。我慢できない。
叫んでしまいたいくらい、身体中に快感が巡っている。
「んっ、んっ、んー!」
俺は必死に服の袖で自分の口を塞いだ。
「……も、いっちゃ、う。くち離し、て」
出来るだけ小声で訴える。
すると、一気に吸い上げるように強くシゴかれ俺は───
「あっ!? ん、いっ──!」
ってしまった。
「いっぱい出たな」
「ちょっ、また飲んだんですか? ダメって毎回言ってるのに!」
「ティッシュが遠かった」
「も、もー……」
征一さんは何ともないような表情をしながら、自分の腕で口を拭っている。本当はそんな事、させたくないのに。
「よし、これで少しは余裕が出来ただろ。はい、次は四つん這いな」
「え、まだやるんですか?」
「当たり前だろ。まだストップがかかってない」
そう言われると、そうなんだけど。
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