40人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
講演会警備の任務
桑野の傷は利き手の右手だったせいで、運転や物を持つなどのちょっとした動作にも不自由をもたらした。
そのため、陽子が病院通いをはじめ、できるだけの補助をしていた。
その甲斐あって、桑野の手の傷は順調に治癒した。
ある日、帰宅してメールボックスを開けようとした時、陽子は違和感を覚えた。
ダイヤルの位置が少しずれているのだ。
職業柄、ダイヤルの位置はこまめにチェックし、毎日変更していたので、誰かが動かすと分かるようになっている。
もちろん、他の部屋の人が間違えて回してしまうこともあるだろう。
だが、扉を開けた時、いつも配達する郵便配達員のくせである、横向き投函がかなり乱れて入っていたのだ。
直感的に、メールボックスを探られたと思った。
最初のコメントを投稿しよう!