講演会警備の任務

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講演会警備の任務

 桑野の傷は利き手の右手だったせいで、運転や物を持つなどのちょっとした動作にも不自由をもたらした。  そのため、陽子が病院通いをはじめ、できるだけの補助をしていた。  その甲斐あって、桑野の手の傷は順調に治癒した。    ある日、帰宅してメールボックスを開けようとした時、陽子は違和感を覚えた。  ダイヤルの位置が少しずれているのだ。  職業柄、ダイヤルの位置はこまめにチェックし、毎日変更していたので、誰かが動かすと分かるようになっている。  もちろん、他の部屋の人が間違えて回してしまうこともあるだろう。  だが、扉を開けた時、いつも配達する郵便配達員のくせである、横向き投函がかなり乱れて入っていたのだ。  直感的に、メールボックスを探られたと思った。
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