秘密

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秘密

僕が目を開けると白い天井。 …あぁ、また。 「起きたか?小雨。」 『迷惑かけました。』 「いや、俺はいい。 でも、小雨。締め切りはまだ先の話だった。 ご飯もいつから食べてないのか忘れるほど食べてなかったんだろう。」 『そうですね。 僕、何かをやっていないと気が紛れないので。』 「どういうことだ?」 『僕、左耳がノイズしか聞き取れなくなって、 右も補聴器をつけても聴こえずらくなってきて。』 「そうだったのか。相談してくれれば良かったのに。」 「小雨。」 神楽がはいってきた。 『見てくれた?頑張ったんだよ。』 「知ってるよ。 でも、無理して仕上げなくて良かったのに。 耳のことなんだけど、いつから?」 『いつ?』 僕は答えられない。 手があまり、動かなくなったからだ。 『ずっと、前。』 こう答えるしかなかった。 不意に眠気を感じた。 僕が起きると、真っ暗になっていた。 カーテンはしまっている。 意地で立ち上がる。 入院の服から普段の服に着替えて、扉から顔を出す。 誰もいない。 肩掛けの鞄を握りしめて壁に手をつきながら歩き出した。 階段も危なかったがなんとかセーフ。 裏口から出て座りこむ。 でも、あそこに戻っても結局は帰される。 誰にも頼らない。 スマホをきってから立ち上がった。 僕は目的地に着いてからスマホをタップする。 明るく光り、メールがたくさん来ていた。 もう、帰ってきたよ。 屋上から景色を見ている。 東京の光を綺麗だと思ったのはなぜだろう。 多分今から飛び込むからだ。 「やっぱり、小雨、ここにいた。」 『雨、降ってきたね。』 僕は小さな段差に座りこむ。 「小雨、私に聞かせてよ。 どうしてここにいたいのか。」 『秘密』
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