自分に言い聞かせていくように

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自分に言い聞かせていくように

『心配かけてすみませんでした。』 僕は、共有スペースで皆の安心した顔を見ていた。 「良かった。心配したんだぞ。」海さんが言った。 『はい。ありがとうございます。』 僕は、納得のいかない顔をしている彼女を見る。 何が納得しないかはわかっている。 「小雨、どういうこと。」 『何の事?』 「なんでも、ない。」顔をそらされた。 あーーー。やってしまった。 はぁ。疲れたなぁ。 『じゃあ、疲れたので。』 部屋の扉をそっと閉める。 僕は皆を傷つけるためにいる訳じゃない。 元気付けるためにいる。 なのにどうしてかなぁっ。 「ケッセラセラ」 僕は、玄関の扉を閉めるまで歌い続けた。 自分に言い聞かせていくように。
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