TRUE END

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「…ねえ、覚えてる?」  分割された画面の一つから、西条まりかが深刻な表情で訊いた。他の参加者がどうでもいいような近況報告を交わす間、ずっと黙っていた彼女は、眉を寄せたまま画面を──僕らをじっと見ている。僕は缶ビールを一口呑んでから「何を?」と問い返した。西条はアイスティーのグラスに視線を落とし、どこか気不味そうに答える。 「松山総司君のこと」  その名を聞いた途端、他の二人の顔が強ばった…ような気がした。 「総理か…忘れるわけないよ」  画面の向こうで、今治忠が答えた。かじろうとした唐揚げをそのまま皿に戻し、視線を落とす。沈痛な面持ちにはなったが、動揺しているかどうかまでは判らなかった。 「なんで今そんな話題…、まさか」  苦い表情でグラスを置いた新居浜幸輝は、なにかに思い当たってはっと顔を上げた。 「見つかったんだって。一週間くらい前に」  答は彼の予想通りだったんだろう。「…どこで…?」と更に問うも、グラスを持つ手が震えているのが画面越しですら判った。無理もないと、僕、宇和島祐介は同情する。  今ここにいる…モニターに映っている三人と僕、そして松山総司は高校時代の同級生だ。卒業してから三年会っていなかったのだが、半年ほど前に西条から同窓会の連絡が入り、その後度々こうしてオンラインで集まるようになった。──そう、松山を除いて。 「それがね…」  西条は聞かれたくないことのように、小さな声で続けた。 「谷部川(やべがわ)の崖側で、だって」  今治と新居浜は、それぞれ微妙な顔つきで息を飲む。 「じゃあやっぱり、あのとき…」 「マジか…」 「でも、なんで今頃? あんだけ探して全然見つからなかったのに」  今治の質問に、西条は少し迷惑そうに答えた。 「大雨のせいよ」 「雨?」 「土砂崩れがあってね。規模も被害もほとんどなかったから、地元でもちっちゃくしか取り上げられなかったんだけど。…ちょうど辺りがね…」 「崩れたから、ってことか…」  西条は神妙に頷き、ぽつりと呟いた。 「…あたし達…逮捕とかされたりすんのかな…?」  僕達三人はモニター越しに顔を見合せた。
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